片思い

ハナミ

第1話辛いな、幸せだな

どうして貴方なんだろう?

分からない

優しい人だから?

優しいんじゃない

子ども扱い

少し背伸びをして、大好きな水色のネイルを塗る

私は

ワンピースが好きで

黒のワンピースに

1粒アレキサンドライトのネックレスをつける

光の加減によって輝く

石の輝きが猫の瞳みたいで

そして

低めのヒールに

小さいカバンも

メイクは、薄く

大人びているように

相手は8歳も年上

軽くオシャレをしているように、見えるように

まだ、雑誌とかで研究したなんて

恥ずかしくて、誰にも言えない

18の夏

バイト先の店長と、私と友達と貴方の4人でドライブに行ってカラオケ。

私は凄く音痴で。

店長にワガママを言って居酒屋に移動。

もうね、2年の片思い。

ちょくちょく遊びに行ってたけど、彼女いるの知っていたから、好きになっ ちゃいけない人で。

大学の頃から付き合っていたみたいで。

胸がジクジク痛む。

いいなーと。

1日だけでいいから、独占したい。

独占したら、遊園地に行きたい。

ある遊園地の、観覧車の天上でキスをしたら、結ばれる。想像だけならいいよね。

でもね、言わない。

貴方を悩ましたくないし。

2番目とか嫌だから。

私は私だけを見てくれる人がいい。

好きじゃないのに、付き合ってつまらなかった。

「ねぇ、店長はどうして結婚しようと思ったの?好きになる瞬間ってどんな感じ?」

アルバイトをしながら聞いてみた。

たこ焼きを焼きながら。

店長は、少し考える顔をして

「流れかな」

7年付き合っていたら、流れで結婚するのかな?

私も、2年と少し貴方だけを見てる。

行先は、諦める事。

どこがいいって言われても。

分からない。

今思えば、大人だから好きになったのかな?

私は恥ずかしい事に奥手で。

告白した事は1回しかない。

貴方と、2人でたわいない話をしてる時、心臓がドキドキして。

背も高くて。

好きすぎて。

真正面から顔を見たこと数回。

私は少しでも可愛く見て貰えるように、美容院には月に1回。眉毛カットは、2週間に一回。

好きだなって。

貴方が転勤が決まった時も、好きなんて言えなくて。

好きって絶対に、絶対に

バレないように。

栄養ドリンクの詰め合わせをプレゼントして。

他のバイトの女のコと話しているのを見ているのも辛くて、あの輪の中に入れない自分が嫌で。

でも、耐えられなくなって。

泣きそうで。

そんな資格ないのに。

今が幸せなら、喜ばないといけないのに。

それで、貴方に最後に握手をお願いして。

二次会には、行かずに帰って。

家の近くにある公園で、ブランコを押しながらポロポロ涙はでるし。

好きだったのか。

好きだった自分が好きなのか。

もう訳が分からなくて。

涙が止まらないし。

好きも言えないし。

私はしばらく泣いて。

家に帰って。

もう夜中だけど、湯船でぼんやりしながら。

楽しい記憶と、彼女の事を照れくさそうに話す貴方も好きだったな。

好きな自分が好きだった?

恋って

甘くて

しょっぱくて

幸せで

悲しくて

胸がジクジク痛くて

手の届かないもの

だからね

若い時の自分に教えてあげたい

ハンターになりなさいと

いつも好きじゃない人と付き合って

私は

もう恋の卒業式

しました。

あんな激情はしんどい

穏やかに

今は穏やかで、凄く幸せ

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片思い ハナミ @muneta

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