人にできるのは、ただ「記録」することだけ

作者自身もおっしゃるように、SCPや陰湿因習寒村の成分を大量に摂取できる短編連作です。私の抱いた印象は和風X-FILEでしょうか。
不可解で異常な事件が起きながらも、警察が動くほどわかりやすく直接的な被害ではない塩梅が絶妙です。
人智の及ばない超常存在に対し人間はどう向き合って生きるのか。
報告書くらいは書けそうだけどなかなか根本的な解決には至らないもどかしさ。
殊更に恐怖を煽るのではなく、静かに迫るようなおぞましさが魅力的なホラー作品です。

好きな神は……「辻褄合わせの神」ですかね。
神の二面性というか、人間次第で善神にも悪神にもなるというか……。
「ひとつずつ降りてくる神」も想像できるビジュアルがキモくていい……。
「ひと喰った神」も、不気味だけど別に困らないのでは? 本当に? という油断ならない危うさが……。
つまりぜんぶ好きです。

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