放課後の教室と佇む少女

「”THE BOY MEETS GIRLS”は放課後の教室で」そんな謳い文句を思いついてしまうほどに、美少女と主人公の出会いは放課後の空き教室が相応しい。

一つの出会いの典型とも見られる展開だが、これを紐解いていくと中々に面白い様相が浮かび上がってくる。夕焼けの日が差す教室はまさに逢魔が時であり、日常とは切り離された伽藍堂な教室は異界化あるいは彼岸化された空間なのである。そこで佇む少女は非日常の世界に生きる得体の知れない存在であり、魔性を伴う美しいモノに昇華されるのである。

変哲のない主人公が異界の住民と行き逢うというだけでも妖しい一枚の絵になるのだ。この物語が今後はどのように展開していくかはまだ分からないが、放課後、空き教室、佇む少女、という連想が小説に与える効果について考えてみた。

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