君の言葉《きみのことは》

遠藤 円

第1話春の出会い

俺の好きな人は親友と付き合っている。


いや正確には親友と付き合っている時に好きになってしまった


彼女の真っ直ぐに人を好きになる所に惹かれた


親友と別れた後も俺は告白は出来ずにいた


友達の彼女に告白するのは勇気が居る


そんな彼女の事が好きになってから10年が経った。


彼女が明日結婚する


過去に戻れたらとも思うが結局俺は告白出来ずに居ると思う


明日の彼女の結婚式は行けそうにはなかった。


もう彼女とも会う事はないだろう


彼女との初めての出会いは今でも忘れる事は出来ない


その位彼女が言った一言が


俺の人生を変えたと言っても過言では無い


だが多分彼女は何も考えずにその一言を言ったと思う


だからきっとその言葉を覚えても居ないと思うけど


その一言の後とその一言の前では


俺の見る景色は変わってしまった。








♢♢♢









彼女との初めての出会いは、高校二年生になったばかりの春頃

学校が終わり駅まで着いて携帯を忘れている事に気がついた

携帯を取りに教室に戻ると。


 一人の少女が居た、黒く透き通る長い髪、肌は白く儚い美少女を絵に描いたようだった。


 俺はこの子の事を知っていた、親友と最近付き合い始めた女の子、写真を見せて貰った事があったので顔を覚えていた、名前迄は流石に覚えていなかった。


「アイツなら今日はサボりだよ」


何も言わず出て行くのも変だと思い、俺は親友の事を伝えた


「教えてくれてありがとう」 


俺は自分の机の中の携帯を取り、立ち去ろうとした時、今度は彼女から話しかけて来た


「部活とかはやらないの?」


この学校は部活動が盛んで大半の生徒が、部活に入っている。

だから放課後直ぐに帰る生徒は珍しい、部活の勧誘をされると思った俺は、適当な事を言ってこの場を去ろうと思った


「努力とかしても虚しいだけなんで」


彼女はその言葉を聞くと悲しそうな顔をした


「確かに虚しいよね」


想像していた答えと全く違う回答が来て、驚いた……皆否定的な事を言ってくるのに、彼女が肯定的な事を言ってくるなんて

思ってもいなかった俺は不意を突かれた


「あれ……ごめん」


何故だか涙が止まらなかった


「大丈夫?」


彼女は心配そうにそう言ってきた、恥ずかしくなった俺は走って教室を飛び出ていった。これが彼女との最初の出会いだった。

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