第3話 成人式

あれから5年経った。みんな20歳になった。この町では成人式に中学校3年生の時の担当の先生たちが招待される。池田先生は長谷川先生と連れ立って参列した。中学生の子供だった彼らも立派な大人になっていた。晴れやかな着物に身を包んだ女性たちの中にあの執行部の西村さんたちがいた。スーツにネクタイ姿の男性たちの中にもあの執行部の生徒たちが参列していた。そしてあの2人は池田先生を見つけるとさっそく寄ってきた。「先生、お久しぶりです。今日は3人で行くんですよね。3人だけじゃなくて8人みんなで行きましょう。」と吉田会長が言うと谷崎副会長もどうせ行くならみんなで行った方が楽しいですよね。長谷川先生もお願いします。」というと「私はもう年だからお財布だけ参加させてもらうわ。」と言って長谷川先生は財布から1万円札を出して池田先生に渡した。「それじゃ、吉田くん、谷崎くん、みんなに連絡して夕方集合だ。いつも行く焼き肉屋にしよう。」というとみんな盛り上がった。「先生、忘れずに覚えてくれていたんですね。僕たちも良い思い出として残っています。」と吉田君が言うと池田先生も「あれから僕も変わったよ。ひどく自分勝手な教員だったと思うけど、生徒の気持ちを考えられるようになったと思うんだ。それも君たちのお陰だよ。」と感謝した。

 その日の夜の焼き肉屋が笑顔で包まれ、盛り上がったことは間違いない。しかも、話題の中心は「赤いきつね事件」についてだった。

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文化祭準備は深夜まで @eijiro2011

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