第5話

昨日何かとっても大事なことに気づいた気がする。生きる意味はなくてもいいんだ。てか、そんなものなかったんだ。じゃあ今日は何をしよう?学校に行かなくちゃいけない。勉強しなくちゃいけない。ちゃんとした大人にならないといけない。その空虚な目的にずっと違和感があった。表面だけで誰も説明をしてくれないし、たぶんわかってない人ばっかりなんだろうな。そうやって、他人が決めた生きる目標・意味で埋めないと私たちの人生は長すぎるのかもしれない。私の家は裕福とは言えないけど、普通に生活できている。私が使える部屋は2つしかない。みんなでご飯を食べる部屋とみんなで寝る部屋だ。私のプライベートな空間はない。だから、クラスには行きたくないけど、家にもいたくない。ずっとずっと誰かの存在からは逃げられない。朝はきらいだ。男の人が起こしに来る。おはようと話しかけてくる。またこの世界での一日が始まるのか。おはようと返すことは、この男の人とこの世界を受け入れることになる。胸がぎゅっとなって声がでない。ご飯の部屋に行くと男の人と向かい合わせになる。もう一回おはようと言わないといけない重さで部屋になかなか入れない。目を合わせられない。合わせると話しかけてくる。私が家で一番苦手な時間は家族でご飯を食べるときだ。真顔で空間を見つめて食べる。こっちを見ている気配を感じる。前からも横からも。息がつまる。つまってそのまま死んでしまいたい。そう思って急いで家を出ていく。行き場所はない。学校にも家にも居場所がない。気が付くとまた昨日の公園に来ていた。風の音だけが聞こえる。なぜ生きるのか?答えが出たはずなのにずっと考えてしまう。意味がないのに生きている。意味がないなら、なぜ生まれてきたのか?意味のない存在。そんなものが存在し得るのか?いみのないものはそんざいしちゃいけないの?昨日の女の子がいつの間に、横に座っていた。汚れのないまっすぐな目をしている。みてみてきらいなびーだま!これはねあそこでひろったいし!きれいだね!お姉ちゃんにも見せて!ビー玉には意味があるのかな?きれいだからいみがあるよ!いっぱい持ってるよ、さんこも!びーだまがあったらうれしい!無くなったら?壊れちゃったりどっかに行っちゃったら?とってもかなしくてないちゃう。じゃあ石はどう?いしはあそこにいっぱいあるからなくなってもだいじょうぶ!でもちょっとかなしいかも。石には意味があるかな?石とビー玉は何が違うんだろう?ちょっと意地悪なことを訊いてみた。


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生まれて・生きて・死ぬ さくら @birth_live_death

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