第53話 明け方の喪失

 久しぶりに夢の話を書いておこう。


 変な夢だった。


 変な夢ばかりの話ばかり書いているから、当たり前の話なんだが、三年前、亡くなった母親の夢を見た。


 よく言う夢枕に立つ、というやつではない。


 私の感覚を喪失していたのか、母親が生きていると錯覚して対応していた。


 まぁ、起きるまでの数秒の事なのかもしれない。


 朝ごはんの用意をして一緒に食べる寸前まで、ふたりで笑い合っていた。


 目が覚めると、私はやはりひとりで、布団に包まって寝ていた。


 母親が逝ってしまった事を理解するのに、時間がかかった。


 記憶が一瞬、喪失したんだなと理解した。


 その時間が長いように感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

明け方の夢 まる・みく @marumixi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ