これからもきっと
あれから四年と少しが経ち、現在。
「おい起きろ。麺ができるまでの五分って言ってから三十分経ってるぞ」
「……寝て起きたら勝手に卒論できてないかなぁ」
「寝言は寝て言え」
「じゃあ寝ます……」
そう言って彼女は目を閉じてしまった。
まぁ、もう少し休ませてやることにしよう。
俺は彼女の卒論から目を離し、伸びに伸びた麺をすする。
なんとも言えないその食感と共に、高校時代のことを思い出す。
かわいくなかった、たった一人の友人のことを。
隣にいる、そいつを見やれば、かわいらしい寝顔で寝ていた。
起きる気配なんてなくて、完全に気を許している。
「起きたら作り直してやるか……」
視界に映るテーブル上の赤と手元の緑を見ながらぼんやりと考える。
これからもきっと、こんな風に過ごしていくのだろう。
できれば、もう麺は伸びさせたくないけれど。
fin.
ソウルフードと転入生 にのまえ あきら @allforone012
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