第4話2人は堕落部!

堕天使落語研究部、通称堕落部。

なんだそれと思われるだろう。かくいう部員の俺でさえもそう思っている。

俺は登校するなり、部室に赴いた。


「お、山下氏ー。いつも通り重役出勤ですな。」


「ただの遅刻ですよ部長。それに通学を出勤にするのやめてください。なおさら学校に来たくなくなります。」


この人は堕落部部長のダ・ヴィンチ・マルチネスさん、通称山田太さん。あれ?逆だったか。

小太りで黒縁メガネをしている。そして野球部でもないのに坊主。そして毎日授業に出ないで部室にこもっている。おかしな人だ。


「お?山下氏は学校に来たくないのかい?」


「まあ、そっすね。別になんか理由があるとかじゃないっすけど。」


俺はいじめられてないし、勉強についていけてないわけでもないし、友達は少ないが全くいないわけでもない。ただなんとなく学校にきたくない。これは別におかしくないというか、大体の学生はそうなのではないだろうか。


「理由はないのに学校にきたくない。ハハッ 相変わらず君は変な奴だな。」


部長に言われたくないわ!という言葉を飲み込んで会話を続ける。


「部長は学校楽しいんすか?」


「たのしいねぇ。まあ僕の場合は学校というより部活が楽しくて来ているんだが。」


堕落部の活動内容としては、部長はパソコンに向かって何やら作業していて、俺は部室のソファに寝っ転がりながら、小説を読んでいる。あとは今のように会話するだけ。正直俺はここにサボりにきてるし、特段楽しいと感じていないのだが。


「そーいえば部長。いつもパソコンで何してるんすか?」


「映像鑑賞だ。」


「へえ、なに見てんすか?」


部活が楽しい、そう思えるほど面白いものとはなんだろうと、単純に気になった。


「YouTubeだ。」


「家で見ろや!てか、部長はYouTube見て、俺は小説呼んでるだけじゃないっすか。この部活。」


「山下氏、ここは堕落部だよ。堕落するのがこの部活の活動方針だ。」


「いや違うでしょ!略して堕落部なだけで正式には堕天使落語研究部なはずっすよ。なんか堕天使とか落語に関係するもの見てたんじゃないんすか?」


「ぜーんぜん。最近の僕のお気に入りは、釣り動画だ。」


「じゃあなんで、堕天使落語研究部なんすか?」


堕天使落語研究部と言っても、堕天使になりたい奴が集まっているわけでも、落語が好きなやつが集まっているわけでもない。というか部員は部長俺の2人しかいない。じゃあなぜ堕天使落語研究部なのか少し気になった。


「ついにしてしまったね。その質問を。」


「な、なんすか?」


「その質問に答えるには一年前、つまり僕の入学当時に遡る必要がある。」


この時の山田太さん。通称ダ・ヴィンチ・マルチネスさん。つまり部長の目は今まで見たことのないほど真剣な眼差しだった。

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