第3話神のいたずら
はあ、はあ、はあ、、、、
自転車を漕ぐ。ケイデンスを上げる。僕の口の中は完全に乾き、その渇きは喉の入り口にまで達していた。ほのかに血の味を感じ始めた頃、目に赤が映り僕は諦めた。
「失礼します」
同級生は職員室に入りづらいなんて言うが、僕はもう慣れっこだ。入学式から半年、登校してまず、職員室に来るという行動はもはや僕のルーティーンになりつつあった。
「なんだ山下、また遅刻か」
そう、遅刻常習犯なのだ。家をギリギリに出たのもあるが、問題はそこじゃない。3回だ。僕が遅刻しまいと、必死に自転車を漕いでいた時、神のいたずらか、赤信号に捕まった回数である。
「倉セン、違うんです。今日はほんとについてなかったんです。」
「なぁにがついてないだ。まさかまた赤信号に捕まったとか言うんじゃないだろうな。」
「違うんです。いや、違くはないですけど。
3回ですよ⁈3回。僕の家から学校までの信号制覇してますよ!」
「だからいつも言ってるだろ。信号に引っかかっても間に合う時間に家を出ろと。10分でも早く出れば間に合うだろ」
「それは大人の言い分だ」
「ったく、まぁいいや、早く教室に行け。放課後ちゃんとこいよ。」
この学校は遅刻した場合、放課後に遅刻課題なるものをやらなければならない。課題といっても、難しいものではなく、漢字を永遠に書かされたり、英単語をこれまた永遠に書かされたりするだけだ。
「はーい」
僕は職員室を出て、教室とは逆方向に進んだ。
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