文字を追っているだけのはずなのに目が眩むほど、煌びやかな舞台。

よくぞここで物語を断ち切ってくださった……!
読者に余韻と想像の余地をたっぷりと残し、なおかつ、ことごとくやり切った終幕。とても勇気のある終わり方だなと感じました。

「もしこうなら……」「こうしてさえいれば……」といくら考えても、なるべくしてこうなったという結論に立ち返ってしまう、この説得力。
登場人物の個性がしっかりと彼らの生き方に反映しているので、うかつにもしもを述べようものなら、彼らのその一瞬の輝きや生々しい葛藤を否定しかねません。

繊細な心理描写、それを支える舞台背景、決して一面だけではとらえきれない複雑な恋愛模様。
こんなにも「人間」が描かれていることに惚れ惚れとします。

あのラストシーンは本当に鮮烈で、見事でした。
途中で席を立たず、最後まで観覧してほしい作品です。