寝起きの副調理長
夜が開け切る前に外に出て、車で職場に向かう。昨日は少し帰りが遅かったから、いつもなら十分な睡眠でも足りなかったようだ。若干眠い・・・・・・。
居眠り運転にならないように注意しながらノロノロと職場へ着き、この時間ならまだ裏は閉まっているのでフロント前の扉から出勤する。
「早よっす。
「おお、お早うさん。今日はまだだぞ」
「じゃあ調理場の鍵ください」
「ほれ。名前書いてけよ〜」
「はいはい」
一応こんな俺でも調理場を預かる副長だから、鍵を受け取る。新人に準備しとけだの、先に来いとは言わない。普通なら管理するものがある場所に、新人の坊なんてどこの企業も行かせないだろ? え?行かせる? 若い連中で立ち上げた新会社とかじゃなければ、気をつけろよ?
ふいに出そうになった
「なんだ。まだ眠いのか?」
「昨日・・・・・・最後来んのが遅かったんで、終わるのも遅かったんすよ」
「あぁ、一個遅れたとこあったもんなぁ。まあ、これやるから、目え開けてがんばんな」
「あざっす」
今朝の調理は昨夜遅かったにもかかわらず、あっという間に終わった。皆早い出発のようで、朝一で来てくれたから席が混む程度。調理自体はタイミングが一緒だったので、わりと楽だった。代わりなのか、接客の姉ちゃんたちや
俺は今日の夕食の仕込みを終え、
「あぁー・・・・・・疲れた体に
我ながらジジイな発言だと思ったが、昨日からの疲れのせいでそれどころではない。人の少ない浴場でしっかり心の栄養補給をした俺は、髪も乾かさずにそのまま近くのコンビニで弁当とアイスを買い込み、車へと急ぐ。酒が飲めたら、朝から飲んだんだけどなぁ・・・・・・。
頭上付近まで登り切った太陽を背に、窓全開で車を走らせた。
お湯屋の日常 蕪 リタ @kaburand0
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