洗脳されて愛しさが止まらないし結婚もさせられたけどヤンデレ幼馴染から逃げることを俺はまだ諦めていない

赤茄子橄

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※色んな意味で不快になる話かもしれないのでご注意してください。



バンッッッッ!


俺の目の前の机に、小さくても力強い手が激しく叩きつけられて、部屋中に激しい音が鳴り響く。

それだけで俺はもうビクビクと身体を小さくして肩を震わせながら怯えるしかできない。


俯いたまま何も話せない俺の鼓膜を、可愛くて静かで冷たい声が揺らす。


「ねぇ、リク・・。これはどういうことかな?」


恐る恐る目線をあげて、今まさに指されているテーブルの上のそれ・・に目を向ける。


俺にとって身に覚えしかない錠剤それ

28錠が1シートにまとめられた薄いカードのような入れ物に入ったそれは..................低用量ピルだ。


そのシートの分はすでに20錠ほど消費されている。というか俺が消費させた。


実薬の部分は使い切ってるから残りは偽薬部分。だから今月は、多分安心。


..................何が安心なんだって?

そりゃピルなんだから、妊娠の心配がない安心感さ。


「ねぇってば。リク。聞いてるの?」


問い詰められても、口を開けない。


物理的に開けないわけじゃない。

これまでの経験から、こういうときのこいつ、シオこと冶已汐波やみしおはは何を言っても余計にキレて拷問を始めるのがわかってるし、下手なことを言えばその拷問の凶悪さは増してしまうのだから、安易に口を開くことなんてできない。


「ねぇねぇねぇねぇ!シオが!聞いてるのかって!聞いてるんだけどっっっっ!!!!!!??????」


とうとう怒鳴られてしまった。


あぁ......怒鳴るシオも可愛いなぁ......っじゃなくて!

怖い、怖いんだ。こういうときは恐怖を感じないとおかしいんだ......。ちゃんと思い出せ。俺はまだ折れてなんてない。まだ正常な判断ができる。


とにかく今は、この状況で最適な何かを発言しないと、それこそ取り返しがつかないほどシオを怒らせてしまう。


「えっと、シオ、あのな?」


だからこそ熟考して、ようやく出た言葉は。


「それは......薬だよ......」


とりあえず、まずは事実を伝えるところから攻めて見る。


正解ではなかっただろうけど、間違いでもなかったみたいで、シオは「はぁっ」とわざとらしいため息を吐いて、また静かに話し始めた。


「あのさ、リク、そんなことはわかってるの。それにこれが何の薬かってこともわかってるの。シオが聞きたいことがそんなことじゃないって、わかってるよね?」


小さくて女性らしい丸みを帯びた肩、艶のある長い黒髪に見た目からして柔らかいのが明らかなもっちり肌、普段はおっとりとした垂れ目に涙袋を携えた、可愛らしさに包まれたシオ。

この子から発せられているなど初見ではきっと見抜けないであろうドスの利いた声で詰められる俺。


シオが「リク」と呼ぶ俺は冶已陸空やみりく。旧姓如月陸空きさらぎりく

なんとも幸せなことに、今、目の前で静かながらにキレ散らかしているシオの夫をやらせていただいている者です。


シオは普段、俺のことを「りっくん」と呼ぶんだけど、怒ってるとき、俺をビビらせたいときは「リク」と低く呼ぶ。

そういうところからもシオのキレっぷりが垣間見えている。



「........................まさか、わからない、とか言うつもりなの?」


短い時間、ほんの一瞬だったけど俺が黙っていたからか、ただでさえ光を失った瞳は更に闇を帯びる。


「も、もちろん、わかってる、よ......」


「ふぅん。そっか。それならいいの。いやよくないけどね?」


少しだけ声のトーンにマイルドさが足された。気がした。

シオが優しくしてくれて嬉しい。抱きしめた......いわけじゃねぇよ!こんなん優しくされた内に入らないんだよ普通は!しっかりしろ俺!


「じゃあ、ほら、りっくん。自分がどれだけ酷いことをしたのか、ちゃんと自分の口で報告して」


りっくん呼びに戻してくれた。シオ......好き......じゃないってだから!ここはちゃんと恐怖を感じてないとおかしいだろ!


でもここはちゃんと答えないと、拷問の質が上がっちゃうからな。


「あの......俺は、シオが子どもを欲しがっているのを知っていながら、そんな大好......きなお嫁さんであるシオに内緒で避妊薬を飲ませていました」


「うん、そうだね。信じられないねほんと。大好きなお嫁さんを裏切って楽しかった?」



楽しかったか?そんなわけないに決まってる。

大好きなシオを裏切るのがどれだけ心苦しかったか......じゃなくて!


いつシオにバレるかヒヤヒヤして、ずっっっっっっっと恐怖に怯えてきたわ!


「それで?いつからこんなのシオに飲ませてたの?」


さて、ここはどう答えたものだろうか。

ここで本当のことを言ってしまうと、その長さの分だけお仕置きが強烈になるだろうし......。

さすがにそんなに昔のことはバレてないよな?


「えっと、半年前くらい......だったかな?」





バンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!


さっきより強く机が叩かれる。


あ、だめだこれ。始めた時期までバレてるのか......。


「リクはどれだけシオに嘘をつけば気が済むの......?」


「ごめんなさい!本当は3年前から飲ませてました!」



シオと結婚したのはすでに7年前。俺の18歳の誕生日。

とは言っても一緒に市役所に届け出に行ったりしたわけじゃない。


16歳、高校1年生のとき、クラスメイトの女子に告白されたことがシオにバレて激しい拷問をされたとき、左腕を折られたのと、気絶してる間に背中にハートマークと「汐波LOVE」という文字の入れ墨を彫られたのと同時に婚姻届にサインさせられて、それを弁護士に預けさせられてしまった。

結婚できるようになったその日に届け出るということで。


それで実際18歳になったときに籍を入れることになった。


シオが積極的に子作りをしたいと言い出したのは、それから4年後、俺たちが大学を卒業した22歳のころだ。

今の俺たちは2人とも25歳。なので、今から3年前の出来事。


当時、普通ではありえない拷問や管理をしてくる異常なシオや家族たちからなんとかして逃げ出すために、長年かけて練りに練った海外逃走計画をシオや家族みんなが油断するであろう大学の卒業式に決行しようとしていた。というか、した。


だけど結果は当然ながら失敗。

何年もかけて準備した生活費や、最悪シオたちに見つからないよう人がいない場所でも生きていけるサバイバルもできるような知識、海外渡航するために準備しておいた飛行機のチケットに至るまですべてバレており、全部おじゃんにさせられた。


そのとき持っていた資金はシオとの結婚式や新婚旅行、指輪なんかに全部消えていって、ほとんど残っていない。


あ〜、ウェディングドレスのシオも指輪上げたときの嬉しそうな表情も、新婚旅行でヤッたときのシオも、めちゃくちゃ可愛かったなぁ......ってそうじゃなく!

いや、可愛かったのはほんとだけど!そんなことでシオに絆されていいわけない!


シオは平気で骨を折ったり勝手に入れ墨彫らせたりするような異常なやつなんだ!

昔シオに頭の中をいじられたらしく、シオへのとめどない愛情のほとばしりを留めることが難しくなってるけど、まだかろうじて残ってる俺の理性が定期的に警鐘を鳴らしてくれるおかげで、なんとか恐怖心を思い出すことができている。


ともかく!そう、俺はまだこの超絶可愛くて大好きな俺の天使最恐のアクマから逃げおおせることを諦めてないんだ。



もしもシオが望むように、俺とシオの間に子どもなんてできてしまったら、俺の性格的にそれを捨ててまで逃げ出すなんて選択肢を取れるはずはない。

そこにシオに受けた洗脳も手伝って、一生シオと子どものために尽くし続けてよだれを垂らしながら喜ぶヤバいやつになるのは目に見えている。


だからこそ、シオに子作りを始めようと言われた3年前から、あたかも従順に積極的に子作りに励んでいるかのように振る舞いながらも、パートナーを連れていなくてもピルを処方してもらえる独自のルートでシオにはバレないよう内緒で避妊薬を入手してバレないように工夫してシオに飲ませて子どもがデキないようにシていた。


生理の日はシない日もあったけど、ほとんど毎日させてもらっていた。

いつかはバレるとわかってはいた。


それでとうとうその日が来てしまった、というわけだ。


それが今回の怒られの顛末。




「うん、そうだよね。黄泉坂よみさかくんのツテでおクスリ調達してたんだよね。よかった〜、これ以上嘘つかれなくて。危うくうっかりすぐに・・・どこか折っちゃうところだったよ〜」


そこまでバレていたらしい。

黄泉坂くん、というのは俺の数少ない友人の黄泉坂宵護よみさかしょうごという男で、さっき言った「避妊薬を手に入れた俺独自のルート」ってやつだ。


だけどこれがバレてるってことは、俺がこれまでしてきたことが全部知られてしまったということと同義。やはり拷問は免れ得ないんだろう。


さっきシオが「すぐに」という言葉を強調したのは、多分どっちにしてもこの後で・・・・折る予定だからだろう。この話し合いの間は我慢してくれるらしい......嬉しい......っくない!折られるのがわかってるのに嬉しいわけないだろ!俺!常識を考えろ!


まぁ、ピルを仕入れていた本当の理由である「子どもができたら逃げられないから」という思いはこれまで誰にも話したことはないし、さすがにそこまではわかっているわけじゃないだろうし、相対的には拷問も優しくしてくれないだろうか。

ともかく、これ以上シオの機嫌を損ねることだけはしないようにしないと。


「は、ははは。今は我慢してくれて、ありがとね、シオ。そういうところも大好きだよ?」


「うん、ありがと、りっくん♫シオも大好きだよ〜」



ちょっとだけ機嫌を直してくれた、のかな?

可愛い。



「それで?なんでシオにピルなんて飲ませてたのかな?」


きた。

この質問にはちゃんと、これまで宵護しょうごとかにピルを譲ってもらうために伝えてきた偽の答えを伝えないと。


「そ、それはさ?子作り始めようって言ってたときにも俺言ってたと思うけど、シオと2人っきりの時間をもっと過ごしたくてさ......子どもはもうちょっとデキない方がじっくりシオといちゃいちゃできていいかなぁなんて思っちゃってさ......」


「りっくん......」


シオがちょっと涙ぐんでる。心に響いたのかな。

2人でいちゃいちゃして居たいって









「まぁ〜〜た嘘ついた」












「................................................え?」


「りっくんはバレてないだろ〜とか思ってたのかもしれないけど、シオはりっくんのお嫁さんなんだよ?りっくんの気持ちなんて全部わかってるよ」


どういうことだ?これはまじで誰にも言ってない。言うはずがない。どこからも仕入れられる情報じゃないはず。

だったらブラフか?俺がボロを出すのを待ってるのか?


「りっくんのことだからどうせ、子どもができたらさすがに責任をとって私たちを幸せにしようとしちゃうだろうから、子どもがデキない内に逃げようなんて考えてたんでしょ?そんなこと口にされなくてもバレバレだからね?」


バレバレだった。ブラフじゃなかった。

なんでわかったんだ。


「なんでわかったのかは内緒。だけど、リク・・?今はそんなことを考えてる場合じゃないよね?」


今この瞬間もまるで心を読まれてるみたいだ。俺、表情にでもでてるのかな。

というか、そうだ、それどころじゃない。また嘘をついた・・・・・・・のがシオにバレた。まずいまずいまずい。


「そうだね、また嘘ついたよね。シオはこんなにりっくんのことが大好きなのに、リク・・はまたシオのことを裏切った。しかも3年間もシオのこと騙してた。お婿さんとして許されないことだよ?」


確かに、常識的に考えてパートナーの了解もとらずにやって良いことじゃない。一応、シオにはバレないように薬の副作用で体に異常が起きてないかとか定期的に検診には連れて行ってたし、いろいろとケアはしていたとはいえ、合意なしでしてたんだから完全な裏切りというのは間違いない事実だ。


「こんなおくすり使って、毎日毎日子どもができることを期待してるシオを見て嘲笑ってたんだ?」


「そっ、そんなことは思ってない!申し訳ないとは思ってたよ!」


これは本当。

嬉しそうに俺の種を受け入れて、まだかまだかとウキウキしているシオを見て罪悪感を抱いていたのは本心だ。



「っていうかさ、りっくん、本当に最低だよ?」


まだなにか追加で最低ポイントを指摘されるらしい。


「毎日ご飯が終わったかと思えばすぐにシオのこと押し倒してさ。めちゃくちゃ幸せそうな顔で理性のない獣みたいに荒々しく腰を振っちゃってさ。シオが気を失っててもお構い無しで続けて、出すときには体重をかけてシオの身体を上から押さえつけて身動き1つ取れないようにプレスしながら『シオ大好きだよ、愛してる』って耳元でささやきながら気持ちよさそうにシオの中にいっぱい出すじゃん」


そうらしい。

そのときの俺は本当に理性を失っていて全然記憶がないんだけど、何度かビデオを見せられたことがある。実際にそんな感じで愛を伝えるような行為が展開されていた。


「そ、そうかもしれないけど!でもさ、俺が理性を失っちゃうのはさ?シオとのご飯の時間があまりにも、その......えろいのが悪いと思わないか?」


「ちょっと何言ってるのかわからないなぁ」


シオは心底なにを言ってるか理解できないというように真っ黒な瞳で首をかしげる。


「いやだって、俺が食べさせてもらえるものも飲ませてもらえるものって、ドロドロになるまでシオが咀嚼したりうがいをしてがっつり唾液と混じり合ったものを口移しで渡してもらうものだけじゃん」


「それが?」


「そ、それがって......。シ、シオのあんな艶めかしい表情見せられながら、あんなの食べさせられ続けたら我慢できないっていうか......」


何やら俺のその言葉はシオを喜ばせられたようで、今日1番の笑顔になる。


「うんうん、そうだよね♫大好きなお嫁さんが噛み砕いたもの食べたり、うがいしたもの飲めたりするなんて、幸せすぎて理性失っちゃうよね♫」


「そ、そうそう。それに俺の頭はシオに洗脳されてるんでしょ?具体的にはどういう操作されたのかは全部は教えてもらってないけどさ、それって俺がシオのこと大好きだってことしか考えられなくなっちゃうような洗脳だったんじゃないの?そのせいで俺は理性をなくしてシオを襲ってしまうってことなんじゃないのかって......」


頭の中をいじられたことは伝えられたしわかってる。


「だからシオのことめちゃくちゃにしても、それはりっくんのせいじゃない、って言いたいの?」


「ま、まぁ、そういうこと、かな」


全部俺のせいってことになってしまえば、今度こそ本当に逃げられない。俺の精神的にも、そんな状況じゃあ逃げようとも思えなくなるだろう。


だけど、次にシオが発したド正論に、それまでの自分の考えの意味不明さに気づかされた。









「うーん、よくわからないけど、今の言い訳ってさ、ただ単にりっくんが気持ちよくなりたくて、子どもがデキないようにして何も着けなくても安心してえっちしたかっただけなんじゃないの?気持ちよくなるだけ気持ちよくなって、子どもさえいなかったらシオはお払い箱ってこと?ご飯の時間がいやらしいかったらお嫁さんを蔑ろにしてもいいの?」



!?!?!?!?!?!?




目が覚めたような気分だ。




なんてことだ。確かにそういう扱いをしてきたってことじゃないか......。


なんで俺は「子どもさえデキなかったらシオの人生の責任を取らなくても良い」なんて考えてたんだ?

毎日毎日シオのことを汚すだけ汚して、それでいて自分可愛さで逃げようとしているだなんて、完全にただのクズ男じゃないか。


そうだ、今まで何をアホなことを考えてたんだ。

俺はとっくにシオに対して十分すぎるほどの責任を負ってるじゃないか。


なにが逃げるだよバカが。

こんなに可愛くて、俺のことを愛してくれて、気持ちよくて、素敵なお嫁さんなんて、大事にする以外の選択肢があるわけないじゃないか。


ちょっと骨の2、3本折られたり、一生人に背中を見せられないような入れ墨を入れられたり、他の女の人と目が合ったことがバレたら病院送りにされたり、会社の飲み会に行く変わりに翌日以降1週間のご飯と飲み物はシオの排泄物を出口に直接口をつけて食べる/飲むことしか許されなくなるなんてことくらい、単なる可愛らしい愛情表現じゃないか。何を恐れてたんだ。

シオの深い愛に応えてあげなきゃだめだろ!



「ごめん、シオ。俺、めちゃくちゃ間違ったことしてた。なんでそんな簡単なことがわからなかったんだって怒られてしかたないことなんだけど、シオに言われて目が覚めた。これからは本気でシオのことだけ見るようにするよ」


俺の心からの宣言に満足したのか、シオは口を三日月のように歪めた素敵なにっこり笑顔で何かを小さく呟いた。


(......これで完全に堕ちた♡)


「えっ......と?シオ、今なんて言った?」


「ううん、なんでもないよ!」


シオがこうやっていうときは絶対教えてくれないのはよくわかってるから、これ以上追求するようなことはしない。


「それよりもね?しっかりと反省できてえら〜いりっくんに伝えなきゃいけないことが3つあるんだ〜♫」



俺が本気で反省できたことがよほど良かったのか、シオは完全に機嫌を戻してくれたみたいだ。

これはもしかしたらワンチャン拷問回避まであるか?



明るいニュース次の発言を期待して待つ俺を焦らすように、たっぷり溜める。


「1つ目はね〜」






「子ども、できたよ!」


シオの手にはピンクの検査キット。そこにはしっかりと授かった印が刻まれていた。




「........................え?でも、ピル............え?ほんとに............?」


避妊薬も100%というわけじゃないのはわかってる。

でも、ちょっと信じられない気持ちが残る。


「うん、もちろん本当だよ♫」


うん、シオが嬉しそうで俺も嬉しいよ。


「っていうかね、りっくんがシオにピルを飲ませてることにはね、何ヶ月か前には気づいてたんだ〜」


!?!?!?!?!?!?


「さすがに3年も毎日毎日アレだけ元気よくだされてデキないなんておかしいなぁって思ってたんだぁ。だから黄泉坂くんにお願いして、今度からりっくんに支給する薬は卵を一杯だすやつにしてもらってたの」


な、なるほど。道理で最近シオから放出されるフェロモンが強すぎると思ってたんだよな。

女性は卵を出す時期には女性らしさを増すという話もあるもんな。俺が頑張りすぎたのもそのせいか。


「そうか......俺もパパになるんだな......シオ、ありがとう」


さっきまで何を嫌がってたのか思い出せない。今はシオへの心からの感謝だけが心を埋め尽くしている。


「でも、じゃあなんで気づいたときに言わなかったんだい?」


「うん、それはね、ここでそろそろりっくんには責任の意識をしっかりもってもらわなくちゃって思って。りっくんにちゃぁんと罪の意識を植え付けて、シオに逆らいたがっちゃう悪い心を根絶やしにしようと思ってたの〜」


なる......ほど?よくわからないけど、シオの言うことが正しくないことなんてないからな。今まで俺が、シオは異常だなんてバカな誤解をしてただけで、シオはさっき正論を投げかけてくれたみたいに、今までも正しいことしか言ってなかったんだ。


「そっかそっか。シオの手を煩わせちゃってごめんな?」


「全然だよ〜。それでね〜、2つ目は〜」



そうだった、あと2つ、シオから何か伝えられることがあるんだった。





「りっくんがシオのことめちゃくちゃに襲ってきたのは、シオがりっくんの頭の中をいじったのとはなんの関係もないよ?」


「......ん?どういうこと?でも、俺は入れ墨を入れられて頭をいじったって言われたあの日からシオのこと大好きって気持ちが強くなり続けてるんだけど?」


そうだ、それはさすがにおかしい。

今となっては理解できないけど、俺は確かに本心ではシオのことが恐い、逃げたいって思っていたはずだ。

それなのにシオへの愛情を感じてたのはシオに施された洗脳のせいのはず。


「違うよ?確かにあの日はちょっといじって数ヶ月はシオへの好きって気持ちが強くなるようにしてたけど、その後は単にりっくんがシオのこと大好きだっただけ。むしろシオから逃げたいとか思ってたりっくんが自分に嘘ついてたってこと♫」



ほ〜ん、そうかぁ。そうなのかぁ。俺は何年も自分に嘘ついて、シオを傷つけて、無駄な時間を過ごしてきたんだなぁ。


「うんうん、りっくんのせいで・・・・・・・・何年も無駄にしたってわかって、しっかり反省してくれてるみたいで本当によかったよ〜。これで3つ目の内容もちゃんと受け入れてもらえそうだから♡」


あぁ、なるほど。3つ目は、俺がちゃんと自分の罪を自覚してそれを償うチャンスをくれるってことか。なんて慈悲深いんだ。



「3つ目は、さすがに今回のことはシオも傷ついたから、その罰を受けてほしいってことだよ。具体的には、明日から1ヶ月、りっくんが飲み食いしていいものは、シオが下から出したものだけね。まぁ、りっくんが飲み会のたびにやってることがちょっと長くなっちゃうだけだし、今の・・りっくんにはただのご褒美かもしれないけど」


うん、シオの大切なところに口づけしながらご飯が食べられるなんて幸せでしかない。

気持ち的にはシオの血とか、シオの一部を食べさせてもらいたいところだけど、まぁ排泄物も大差ないシオの一部だし、今回は罰って名目なんだから甘んじて受け入れるしかないよな。

それにしても、意外と今回のお咎めというか、お仕置きは軽いな。


「うん、わかったよ。ありがとね、シオ。今からご飯の時間が楽しみだよ」


「うふふ、素直なりっくんのこと、大好きだよ。あとね......」


シオが珍しくモジモジしながら言い淀んでいる。可愛いなおい。


「どうしたんだい?恥ずかしがらずに言ってみてよ」



「そう?じゃあ......今回は罰として、りっくんの手足全部、1回切り取っちゃおうかなって思ってるの/////」


うーん、何が恥ずかしいのかわからないけど、恥ずかしがってるシオは可愛いなぁ。



「でもそれじゃあ、俺がシオのこと抱きしめたりできなくなっちゃうよ?」


「大丈夫、1ヶ月後には繋げてあげるから!」


なるほど。普通に考えたら1回切り取ってしまったら2度と機能しないだろうところだけど、シオがそうしてくれるっていうなら大丈夫なんだろう。


「そっかぁ、わかった。1ヶ月、手足をシオに任せるよ」







「ありがとう//////じゃあ、今晩はその前の最後に、いっぱいシようね♫」










あ〜、楽しみすぎる。



ニコニコしてるシオもめちゃくちゃ可愛いし、さっきまで抱いてた心のタガも意味ないって知って洗い流されちゃったわけだし、速くシオとひとつになりたい。


絶対にシオとこの子を幸せにするぞー!




「絶対絶対、幸せになろうね!」

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洗脳されて愛しさが止まらないし結婚もさせられたけどヤンデレ幼馴染から逃げることを俺はまだ諦めていない 赤茄子橄 @olivie_pomodoro

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