はじまりはオムライス

自宅警備員カワウソ

短編1

昔、子供の頃に近所のカフェに良く遊びに行っていた。


そこにはたくさんの優しい人達が居て子供の私にもやさしくしてくれた。


そこのカフェは街の中にあるのに周りに木々がたくさんありそこだけ森や林のような不思議な空間だった。


子供の私はカフェのお客さんや店員さんの優しさに甘えてカフェがどんな所か理解していなかった。


そんなある日1つの出来事が起きた。


その日私はいつも通りカフェに遊びに行った。


するとお店の扉の前にはいつも優しい店員さんが立っていて、私をお店に入れてくれなかった。


私がなぜ入れてくれないのか聞くと店員さんは困った表情で理由を教えてくれた。


どうやらお店の店長にお金を持ってない子供を入れるなと怒られたらしい。


その時私は初めてカフェがお金が必要な場所だと知った。


私が遊びに行った時にいつも出てくるお菓子や飲み物は店員さんやお客さんがお金を出してくれていたそうだ。


私は優しい人達の思いを知らずに悲しさと寂しさで泣きながら家に帰った。


その後私がカフェに行く事はなかった。


そう、さっきまでは・・・


今年、私は高校生になりアルバイトを始めた。


そうして自分で稼いだお金を持ってあのカフェに行ってきた。


カフェの扉を開ける時少し緊張したがでも店員さんの顔を見た時には緊張は無くなっていた。


店員さんはあの時の人で私の顔を見てすぐに気付いてくれて私の成長ぶりに驚いているようだった。


私が懐かしそうに店内を見渡していると店員さんが席に案内してくれた。


店員さんの名札には店長と書かれていて私の知らないカフェの時間の流れを感じた。


店長さんが注文を聞いてきた。


私がオススメを聞くと笑顔で


「今はランチ時なのでオムライスですかね」


その言葉で私の本当のカフェがはじまった。

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はじまりはオムライス 自宅警備員カワウソ @sinku7110

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