幸せの味は後から染みてくる

崩壊目前の世界で生き抜かんとする親子の物語です。
そう、幸福というものはその当時には「あって当たり前」のものであり、本人には判らないものなんですよね。丁寧に描かれる過ぎ去った幸せの数々が本当に切なく泣けてきます。

そして絶望を突き付けられてなお、人間のお腹はすいてくるもの。
いかなる時でもお父さんであろうとする父の姿こそ人間の尊厳そのものなのでしょう。

今が幸せな貴方にこそ、ぜひ読んで欲しい一作です。