煙草で吸う思い出

 私は煙草が苦手だ。煙の匂いも、吸ったら肺を襲う違和感も。でも好きな所もあって。煙草を吸う君の姿。近くにいたら「あっち行って」と距離を取るけれど、その姿だけは好きだった。なぜ吸っているのか聞いた事がある。

「僕は思い出を吸ってるんだ。色んなところで煙を見てきたから」

 君には私に見えない色が、私の知らない風景が、今もそこに沢山見えているのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

たまり場 花空 @popflower

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ