第11話 角煮!!

 気がつけば1年半も更新をしていなかった事に驚愕。その、時の流れの速さに想いを馳せる私の胃袋は爆ぜる寸前。


 さて、私の身に何が起こったのか?

その謎を紐解いて行こう。


 今日は東京で会議があり、早朝より福岡空港から飛び立った。

 機内で映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を視聴するも、フライト時間内では最後まで観ること叶わず、自分の計画性の無さを反省をする事となった。

 ビジネスでもそうだが、逆算する事は非常に重要だ。

 見誤ること即ち、望む成果を得られなくなる。つまり、チョコレート工場のはじまりが始まらない矛盾に苛まれるという訳だ。


 さて、無事に東京へ到着した私だが、仕事の内容など興味が無いだろう。そこは割愛し、物語の核心へ迫る事とする。


 会議が終わり、今日は珍しく飲み会が無かったので、私は以前から気になっていたお店に独り足を運んだ。


東京都立川市曙町1丁目16−5

その名も『四つ角飯店』様である。


 ここはいつも行列が出来ていたため、私の行ってみたいリストには常に名を連ねていた。

 遂に、その夢が叶うと私は浮き足立つ。


 このお店の名物はズバリ『角煮』である。いつものようにリサーチは完璧。全方位において隙無しである。

 もし、行ってみようと思う読者がいれば、ここで一つ注意事項を伝えておこう。

 行列に並ぶ前に『店内』で順番待ちの受付を先にする事。

 これを知らずに列に並ぶと、いつまでも呼ばれない無限地獄が待っている。

 ── 実に恐ろしい初見殺しの罠である。


 さて、まるで常連のごとく入店を果たした私に、天から声が囁いた。

── そんな空腹で大丈夫か?

「大丈夫だ。問題ない」


 私の胃袋は百戦錬磨。体育会系鉄の掟、『出された食事は残さず喰らうべし』に背いた事はない。

 そして、私は声高く宣言した。

「角煮定食と餃子一人前お願いします」

 そのオーダーを受けてくれたオネーサンは、『お持ち帰りの容器が必要なら言って下さいね』と、言い残し去っていった。


 そう、このお店は味も素晴らしいようだが、量も半端ないとの情報だった。

 だが、男には退けない時がある。

── それが、今だッッ!!


 暫くのち、『それ』は私の目の前に姿を現した。


──それは角煮と言うには、あまりに大きすぎた。 大きく、ぶ厚く、重く、そして柔らかすぎた。 それは正に肉塊だった。


 さあ、リンクの近況ノートに飛んでくれたまえ。 そして震えて眠るがいい。


https://kakuyomu.jp/users/napc/news/16818093084315500025


 ── お帰りなさい。

…… ヤバいでしょ? 物事には限度ってもんがあるでしょ?

 もうね。頭が混乱して餃子が来る前に写真を撮ってしまいました。 私の不手際を許して欲しい。


 だが、私も挑んだ勝負に背を向けるほど落ちぶれてはいない。

「いただきます」

 その言葉を合図に、静かに開戦を告げた。


 まずは角煮という名の肉塊に箸を突き刺す。

すると、信じられない事に繊維に添ってホロホロと崩れてゆく。

「なんて、柔らかさだッ?!」

 切り取られた角煮を口に運び、すかさず白飯を頬張る。

 ── なんという事だ。


 溢れ出す肉汁。それを米が吸収し口の中でワルツを踊る。

 そして噛めば噛むほど、溢れ出す甘味と旨み。それは、極みのアンサンブル。

 五臓六腑が歓喜の声を上げる!!


 私の自制心は崩壊。角煮への熱い想いと箸は、もう誰にも止められない。

 と、そこに現れた刺客。『餃子』

── コイツもデカい。箸でつまむと重い!

それが6個。ここに完成するは、肉汁のスプラッシュ山盛りマウンテン

 流石は東京。恐るべし。


 その後、激闘を完食した私は「ご馳走様でした」の言葉と共に店を出た。

 そして、今。ホテルのベットでお腹を摩りながらこの日記を書いている。


 思い返せば、店内にいたお客さんは2、3人のグループで角煮をシェアしていた。


「なるほどな……。時には友と協力することも大事という訳か」


 ビジネスでもそうだが、いかに用意周到に調査、準備をしても1人の力では限界がある。

 私は、改めて仲間の大切さを知る事となったのである。



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あるサラリーマンの非日常 なかと @napc

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