第19話 聖女の闘い方
「………すまない」
「どうして、謝るん……ですか?私を、助けて、くれ、(エホッ!エホッ!)」
「こんな
「エヘヘ………わ、私、お姫様抱っこ、初め………嬉し……………」
茶色い髪色をした
まるで
「おぉおぉ、これはまた痛そうだな、随分と。だからいつも言っているのだ、危なくなったら逃げろ、とな♪」
「………もういい、それ以上口を開くな」
俺はやはり、聖女が嫌いだ。
嫌悪、忌避、胸焼け、吐き気………、好き嫌いと語るよりこの感覚は、拒絶と呼ぶ方が相応しく。
特に命を使い捨ての道具の如くに嗤う、貴様達のその
(キンッ)
と、隠しもせずに切った鯉口。
先ずは煩い百足擬きを見据える俺の手を魔女は止める………。
「クフフフフ。何が気に障ったかは知らないが、任せて貰おう。此処は私に♪
そしてこの機に一度見ておくと良い、お前様。
我ら聖女が聖女たる由縁、聖女の闘い方というものを………」
魔女は腰の杖を右の手に、変わらず不敵と歩みを進める。
不用意、不注意、無謀無策。
魔女の歩みに戦術や技術、強者の纏う気配の類いは一切無く、
『雷槍(ライトニング)!!!』
「フフ、流石に足りんか♪」
バチリと弾けた雷撃も、あれ程の
力も策も無く、ただ無闇に距離を詰めるなど、正に愚策以外の何物でも無い。無いのだが、それでもなお魔女の不敵は変わらない。
(キシャアァァァァァァ!!!)
「…………ふむ、流石と痛いな」
「な!?」
襲い来る百足擬きの牙に魔女は己が右腕を差し出し、避けも防ぎもせず。肩口まで呑み込まれたその身は、空高く持ち上がる。
「さてと化け物。世話になったな………私の可愛い、教え子が!!!」
『迸れ、迅雷。神槍(グングニル)!』
轟くその奇跡は、青天の霹靂。
穴という穴、節という節から白煙を上げる百足擬きは、黒き消し炭と化して地に沈み。フワリと降り立つ魔女の身体は、自らの血飛沫にベットリと染まる………。その出立ちは聖女などとは程遠く、片腕を失ってもなお不敵に微笑むその姿はまるで………………まるで、
「クフフフ、どうしたお前様? まるで
灰色の孤樸 22時55分 @keep-left
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