第15話 特別な存在
入学早々校長室に入ったわたしはカチカチになりながらロボットのように校長の前へ連れて行かれた。
そこには年を取ったエルフが高そうな椅子に座っていた。エルフでこんなに年を取ったって分かるということは、かなりの年齢だ。おそらく1500以上はいっているだろう。
キリオス「こんにちは。エルピス・アギオさん」
エルピス「こっ…こんにちは」
わたしはぎこちなく礼をする。
キリオス「さて、突然呼んで申し訳ない」
エルピス「いえ」
キリオス「早速だけど両手を私の前へ出してくれる?」
どうやら私の魔力を測定するらしい。フィト先生が驚いていたからその確認だろうか。
わたしは言われるがままに校長へ両手を出すと優しく握られた。
しばらくそのままでいると校長は頷きながら手を離した。
キリオス「なるほど。確かにきれいな魔力ですね」
フィト「ですよね!こんなにきれいな魔力私は初めてですよ!」
フィトが興奮気味に話す。それをずっと頷きながら校長は聞く。
そして次は顎に手を当てて考え始める。
しばらくして校長の口が開く。
キリオス「すみませんがフィト先生。しばらく2人にしてもらえますか」
フィト「はっはい!では失礼します」
校長はフィト先生を部屋の外に出すと椅子から立ち私の前へ来た。
キリオス「あなた…ピスティスの娘ではありませんね」
エルピス「ファッ!?」
ヤバいバレてしまった。私は動揺して目を泳がせる。
キリオス「そうですか。もうそんなに時が経ちましたか」
どういう事だろうか。どうやら校長は何かを待っていたようだ。
キリオス「イロアスはお元気?」
エルピス「え?なぜ父の名を…あっ」
突然の父の名で私は口を滑らしてしまった。
キリオス「私の前では隠さなくて大丈夫よ」
エルピス「それはどういう…」
キリオス「あの子達ったら…」
エルピス「ん?え?」
理解が追いつかないのだがどういう事だろうか…
キリオス「やっと会えたわね。こんなに可愛い子が産まれて…私の本名はキリオス・クラトラス。イロアスの母よ」
エルピス「おっ!!おばあちゃん!?」
━━━━
━━
衝撃の事実に私は動揺しながら、初めておばあちゃんと話をした。
話の内容はほとんどが父のことだった。父の失態など結構面白い話が聞けた。
キリオス「もうこんな時間ね。これから気軽に校長室に来てもいいわよ。大抵私はこの部屋で仕事してるわ」
エルピス「ありがとうございます先生」
キリオス「もう。先生なんて。2人だけの時はおばあちゃんで良いわよ。敬語もいらないわ」
エルピス「わっ…わかった」
キリオス「これから頑張りなさいね」
そう言われながらおばあちゃんはわたしの頭をなでた。おばあちゃんの手だ…優しい…。
キリオス「そういえば魔力値を言い忘れてたわね」
そういえば大事な事を聞き忘れていた。確かフォスは240だったからわたしは魔法の練習もそんなにしていないし多く見積って200くらいだろう。
キリオス「500よ」
エルピス「ん!?」
キリオス「まぁ。わたしの孫なら普通よね」
え~と。今おばあちゃんなんと言いました?500?聞き間違えですよね。
その時クリエルの言葉を思い出した。
『転生者は特別な存在でなければならない』
確かに魔力値が高くて特別な存在だが500か……この年で王様級やないかい。
なんか自分の力を恐ろしく感じてきた…
魔力値は成長するようで、大抵この学校を卒業する時には100前後アップするらしい。
と考えるとわたしは卒業後には魔力値600を超えてるかもしれない。
王様を優に超えている。
こんなに力なんていらんのだが…エルフを拝みたいだけなのだが…
━━━━
━━
「エルピス頑張ってね~」
ピスティスそう言われながら校門を進む。
ほんとやめてほしい。めっちゃ見られたわ。他の生徒は一人で登校してきてるのにもかかわらず、ピスティスはわたしの断わりを無視して学校まで付いてきたのだ。
「おはよう。マザコン」
ほら早速イジられた。
肩を叩かれ後ろを向くとそこにはドラゴニアンのティニーがいた。
「勝手に付いてきただけだよ」
わたしがそう言い返すと彼女は歩きながらわたしの顔を覗き込んできた。彼女の顔はかなり美形だ。小顔だし、こちらを見つめる大きな瞳は赤い炎のようにゆらゆらと輝いていた。
つまりは、そんなに見つめられると同時でも顔を避けてしまう。
「なによ!まさか図星?」
「ちっ…違うって本当にっ」
こちらを突然見られたからつい動揺してしまった。これじゃ本当にマザコンだったみたいじゃないか。
「フフッ。そんなことよりもうすぐ予鈴よ。この学校校門から校舎まで長いから早く急いだら?」
そういうと彼女は翼を広げ、低空飛行で校舎まで飛んでいった。あの翼でどう飛んでいるのだろう。物理的に無理そうだ。
教室に着くと早速ある程度の話し相手がみんな出来たそうで賑わっていた。ティニーも窓際でかたまっているグループと話をしている。するとこちらに気づいたそうで手招きしてきた。しょうがなくわたしも窓際へ向かうとガシッと彼女はわたしの肩を掴み身体が密着するくらいまで引き寄せた。
「この子がさっき話してたマザコンちゃんだよ」
「お前その話ししてたのかよ!」
早速マザコンの噂がコイツによって広められた。由々しき事態だ。
「だからわたしはマザコンなんかじゃなくてたまたま今日親が付いてきただけだって」
と否定してみたが、また動揺して本当にマザコンみたいになってしまった。
「てか、なんで汗かいてるの?」
「なんでって。予鈴がもうすぐだから…」
「アハハ。あれ嘘だよ。予鈴はまだまだ」
「え?」
なんか普通に嘘つかれたんだが。そんなことよりわたしを引き寄せてから彼女の様子がちょっと変なような。まぁわたしも同じだが、目がさっきから泳いでいる。
「んね。面白い子でしょ?」
その後彼女はわたしを離すと通常モードに戻っていた。
てか、こんなギャルみたいなやつこの世界にもいるのか。怖いから関わらんこと(もう時すでに…)
予鈴がなりそれぞれ皆がちゃんと着席できた頃にフィト先生が入ってきた。
「おっ…おはようございます…」
昨日と同じくフィト先生は大勢の前では緊張しているようだ。
つづく
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エルフは観たいだけでなりたい訳じゃない! ほしぼたる @mukkun0507
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