聖騎士になって皇女様の護衛につくことになったんだけど、変態すぎて夜な夜な厳しい件【短編】

藍坂イツキ

始まりの日(短編)


 王暦380年12月25日。

 

 村の出だった俺が聖騎士学校に入学してから早3年。


 俺は成績上位で卒業し、その高い成績を認められ第三王女「ミゲルスケィ・システィーナ・フォン・ゲルグレイ」の護衛の任務を任されることになった。


 王女を守り、いずれは大陸中に名の届く最強最大の聖騎士になり、いずれは世界に俺の物語を広めさせたい。


 昔から大好きだった物語に出てくる聖騎士もそんなふうに夢を描いて、冒険者になり、いずれは魔王を討伐し夢を叶えていた。


 形は違えど、俺もそうなりたい。俺もいずれは絶対に。


 それに、田舎の母ちゃんには断言してきたんだし、なってもらわないと困るわけで逃げられない場所まで来たのだ。


 とにかく、精進しよう。


 そう固く決意したのだが、俺には少しだけ不安があった。

 

 なぜなら第三王女には長年、護衛騎士となっ者がいないからだ。


 生まれてからの10年はSランクの冒険者をやっていたものが騎士にジョブチェンジしてついていたと言われているがそれ以降の記録は調べても出てこない。


 全くと言っていいほど、参考になる騎士と呼ばれる資料が出てこなかったのだ。


 出てこないと言っても、新しく任務についた騎士が揃いも揃って全員、3日でやめているからである。


 不安もあるが、正直その人たちが情けないと思う気持ちの方が強い。


 騎士としての誇りは何処へ捨てたのか、まったくもって理解できない。


 きっと、これは反面教師にしてくれという合図でもあるのだろう。


 ならば、その不安さえも払拭し、必ずや第三王女様に危険を一度も感じさせないほどの働きをしなければならない。


 俺はめげない。

 この頑固たるダイヤモンドよりも硬い意志はそう簡単には砕けないぞ。






王暦380年12月27日。


 赴任日当日。


 思いもよらない事態が発生した。やばい、これはやばい。なぜ長年の間、任務につけない騎士が多発したのかすごく分かった。


 これは無理だ。いや、無理だとは思いたくない。まだ頑張るつもりだが……。


 この任務は護衛と言ったがそうではなかった。ただの肉棒だ。


 もはや聖騎士としてではない。

 聖騎士ではあるが俺は性騎士ではないからだ。


 そう、くだらないが最悪なことに……我らがゲルグレイ王国の第三王女様はあまりにも加減の効かない大変態だったのだ。


 夜な夜な夜這いは止まらないわ、変態なプレイを所望するわで俺の身はもはやガラスの破片。


 朝は準備体操の腰振りから始まり、ランチをとりつつ腰を振る。夕方には庭園で青姦をし、夜は竿が折れるほどに激しく腰を振る。


 全て、起きてから寝るまで12時間以上の間、彼女の頭には激しく腰を振ることしかなかったわけだ。


 しかし、こんなことで根を上げる俺ではない。


 もっとも、有名な聖騎士になるための一歩でもあるのだ。


 こんなところでやめてしまえば田舎に住む母さんや弟、妹たちに蔑まれるだろう。


 これでも聖騎士学校上位成績者なのだ。俺は必ず屈服せぬぞ。





 王暦380年12月27日


 

 赴任して2日目。

 今日もルーティンは変わらない。俺が鍛錬する時間を除けば彼女はすぐに俺を探して、竿をずっこんばっこんしていくのみ。


 あまりにも俺が限界で何度も逃げ出したがなぜか毎回追い詰められて、搾り取られてしまう。昨日の今日で自分が何回致したかわからないがやってる時はとにかく気持ちよかった。


 明るく可憐で苛烈な金髪巨乳なミゲル王女は今日も今日とて淫乱。


 後半戦はまさかの専属メイドまで呼びつけての2Pまでやった。もはや俺は騎士なのか? と一瞬ではあったが正気を保てなくなった。


 このままでは時間の問題だ。


 俺の竿に限界が来る。そしてやがては次の人がというサイクルに陥る。

 このループサイクルは俺の番で断ち切るしかない。


 王女様だって限界はある様だ。俺と同様に疲れるはずだ。

 そう願って、今日一日、俺は耐え切ることはできた。




 

王暦380年12月28日


 赴任してから3日目。


 ルーティンは欠かさない。紅茶を飲みながら毎日やってくるその淫乱お姉さん。俺の竿はもう限界スレスレだったが、少しだけ、ほんの少しだけではあったが疲れが見え始めた。


 腰をずっこん抜根するスピードにやや刃こぼれを感じる。ゆったりになっている。


 しかし、彼女は今日も今日とて止まらない。外でもして、なかでもして、なんなら温泉でもやってきた。


 水を流し、汗をかき、腰を振り、さらに汗を流し、汗をかきの繰り返し。


 とにかく、3日でやめたくはない。

 誰よりも長く、とにかく長く、耐え忍べばいいのだ。




王暦380年12月29日


 赴任してから4日目。

 

 今日は何もなかった。

 困惑と同時にホッとしていると俺に王女様からの直々の呼び出しを食らった。


 なぜだ、俺は何変わることでもしたのか? もしや落ちなかったから、貴様気に食わんとかそういう類なのだろうか。王女様の権力は凄まじい。俺如き一発だろう。


 考えるだけでもゾッとする。


 ブルブルと震えながら王女室へ向かうと、そこに現れたのはニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべるミゲル王女だった。


「あなた、剣術の腕もいいのよね?」


「えっ……い、いえ、そうでございます!」


「下の剣術も貧弱そうだったけれど、耐久力は及第点だわ」


「……あ、ありがたき幸せ!」


「堅苦しいのはやめてちょうだい」


「す、すみませんっ」


「えぇ、わかるならよろしい。まぁとにかくそれはいいとして、今から任命式を行うわ」


「えっ」


 いきなりミゲル様は任命式とか言い出してきた。焦って俺は言い返すと、彼女は一言。


「私に合う騎士を探していたのよ」


「え?」


「だからあの任命式は一次試験のようなものね」


「はい?」


「私の性欲についてこられる聖騎士を探していたのよ、お分かり?」


「い、意味は存じ上げますが……ほ、本意がよく」


「まぁ、そうね。めんどうだわね、とにかくあなたには私の護衛騎士につくことを許すわ。今日からあなたは私の隣の部屋で寝なさい」


「えっ。そ、それはいいのですか?」


「私が呼んだらすぐにこれるでしょう?」


「そ、そうですね……」


「とにかく、今から越してきなさい。これが初の命令だわっ」


「……」


「返事は?」


「はっ! 承知いたしました!!」


 しかし、どうやら俺は3日間に及ぶ地獄の試用期間を終えて、晴れて王女様に聖騎士になることを認められたらしい。


 意味のわからないことつづきで本当に訳がわからなくなっていたが、少しは喜んでいいのかもしれないな。





 


 


「あ、そういえばだったけれど……あなたの名前は?」


「な、名前ですか? その、契約書にて書いていたはずでは……」


「あなたの口から聞きたいのよ、いいから言いなさい」


「は、はっーー聖騎士軍少尉、イシリカ・フォン・リグレシスっ!」


「ほう、イシリカねぇ……いい名前ね」


「あ、ありがたき幸せ!」


「えぇ、精進しなさい」


 同刻、これから数百年と世界に名を轟かせる絶倫聖騎士「イシリカ」の物語は幕を開けたのであった。





 引用:イシリカの伝説 王国出版

 著:イシリカの弟子、ユーグレット・フォン・リストリカ




 気が向けば続きを描くかもです。

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