ガラクタ山の真っ黒おばけ

@yasmi336

ガラクタ山の真っ黒おばけ

第一章

ここは薄暗い闇の世界

私以外は誰もいない

辺りは色彩が感じられないくらい暗く、沢山のガラクタが積み重なっている

そんな中、私は手探りで何かを探している

いったい何を探しているのだろう、、

私自身、何を探しているのかわからなくなっていた

それでも探す手を止めなかった

それ以外にやることもなっかったし

それは私にとってかけがえのない物だった気がするから



上からは一筋の光が差し込んでいる

光が落ちている一帯は僅かに鮮やかさを取り戻している

他の場所より少し暖かく感じるのもあり

私は好んでこの辺りにいることが多かった


スッと光の先に目を向ける

光の元はとても遠い

(、、あの光の先には何があるんだろう?)

暖かい光を差し込みつづけるあの先は

きっとここよりもいい場所に違いない

この暗闇の世界で唯一の光

そこに希望を見出さずにはいられなかった

しかし、あそこまで登る術は何もない

早々に諦めて辺りの探索を再開する


、、だいぶ長い時間、ここにいる気がする。

もう自分が何者で、どんな顔をしているかも分からない

空腹も眠気も感じない

もしかしたらここには時間の概念はないのかもしれない

老いることも、死ぬこともなく、私はここに居続けることになるのだろうか?

この空間にこれからもずっと1人でいる未来を想像して軽く絶望しながら

今日もひとり、手がかりのない探し物を探し続けている


そんなある日、大きな音と共に光の先から少女が降ってきた

希望の光だと思っていた場所から落ちてくるものに、私は手を差し出さずにはいられなかった

慌ててその少女を落下から守ろうと手を伸ばす

受け止めるその瞬間、辺りは彩りを取り戻したような感じがした


不恰好な形になってしまったが少女を受け止めることができた

、、7〜8才くらいだろうか

体はとても小さく、綺麗な銀髪が首下あたりまで伸びている

身に纏っている白いワンピースは少し汚れていた

落下の最中に汚してしまったのだろうか

裸足であることも少し気になった


幸いにも少女に怪我はないようだ

安心してほっと息を吐き、少女が目覚めるのを待つことにした


、、長い間ここにいるがこんな出来事は初めてだった

彼女が起きるまでの間、じっと待つしかなかったがハッと閃く

少女が早く目覚めるように

早く目覚めたくなるように

ガラクタの中から少女が喜びそうな物を探そう

初めての出来事に内心ワクワクしているのを感じた


、、いつもと何かが違う気がする

気になって辺りを見渡してみると

いつのまにか辺りは彩りを取り戻していた

薄暗いのには変わりがないが

以前より断然見やすくなっている

あのとき感覚は気のせいではなかった

これなら探し物も捗りそうだ


ガチャガチャと音をたてながらガラクタを漁る

音に気付いて目を覚ますかもしれないので一石二鳥だ

ガラクタの中からピンク色のクマのぬいぐるみを見つける

少し汚れているが大丈夫だろう

、、しかし、なんだろう、、このぬいぐるみはどこかで、、、


「ん〜、、」

振り向くと少女がうなされていた

悪い夢を見ているのだろうか?

外見だけではわからなかったがどこか痛むのだろうか?


どうすればいいか分からず

ソワソワしながら辺りをうろつくことしか出来ない

「、、、おかあさん、、」

少女がうわ言で呟く

閉じた瞳から1筋の涙が伝う


悲しい夢を見ているのだろうか?

でも、どこかを痛めているわけではないらしい

少しホッとした

、、硬い床では夢見も良くない気がしたので少しでも柔らかそうな場所に移す事にした

涙を指で拭いてやり、布類の多いガラクタエリアを整えてから少女を担ぐ


先程よりだいぶ落ち着いてるようだった

少女の穏やかな寝顔を見ていると優しい気持ちが湧き上がってくるのを感じた

そっと少女を寝かし、頭を軽く撫でる

先程見つけたクマのぬいぐるみを横に置き、もう少しガラクタを漁ることにする

ガラクタの前に立ったところで後ろを振り返り、少女を見る


、、今度はあまり音を立てないように


静かに、、


カチャカチャと小さな音をたてながら

少女の気に入りそうなものを探す



第二章

「ん〜」

わたしはいつもと違う寝心地に違和感を感じて目が覚めた

寝ぼけたあたまがだんだんと起きてきて、自分が知らない場所にいることに気が付いた

「、、お父さん?」

誰も居ない薄暗い場所が怖くなり、お父さんを呼んでみる

返事はない

代わりに黒いモヤが近付いてきた

正体はわからない

大人の人くらいの大きさのものに黒いモヤがついてまわっている感じだった

ペタペタと音を立てて近づいてくる


恐怖のあまりに息を呑む

体が強張る

声も出ない

徐々に近付いてくる黒いモヤ

あまり見ちゃいけないと思いギュッと目を閉じる

カタカタと震える体を抑えながら

通り過ぎてくれますようにと必死に祈る


頭に何かが当たる

(見つかった!食べられちゃう!)

、、でも何もおきなかった

そっと片目ずつ目を開けていくと

黒いモヤは手のようなもので私の頭の上を右に、左に、ゆっくり揺らしている

、、頭を撫でてくれているみたい

黒いモヤは撫でる手をやめ、近くにあるぬいぐるみを差し出してきた

辺りにはぬいぐるみやおもちゃがたくさんあった

(、、、)

ぬいぐるみを恐る恐る受け取る

ピンク色のクマのぬいぐるみ

少し汚れているけどとても可愛らしい

わたしのお気に入りのぬいぐるみとそっくりだった

「、、くれるの?」

お化けは少し間を開けてコクリと頷いたような気がした

この子は優しいお化けなのだと思った

いつのまにか恐怖心は薄れ、笑みが溢れていた

よく見てみると、お化けは人の形をしているのに気が付いた

、、もう少し会話をしてみよう

「ありがとう」

「あなたお名前は?」

またしても少し間があり、フルフルと首を横に振る

言葉は分かるけど喋れないって感じだった

「!!じゃ〜私がつけてあげるね!」

少しテンションが上がる

なにかに名前をつけるのはなんでか楽しいし

言葉が通じるのも嬉しかった

「じゃぁね〜、じゃぁね〜」

少し考えてみる

黒くて背の高い優しいお化け、、

「クロスケ!!」

「あなたの名前はクロスケね!」

それは咄嗟に出てきた名前だった

印象だけで付けた名前にしてはぴったりの名前だと、わたしは思った


「私はシロナっていうの、よろしくね!」

満面の笑顔をクロスケに向ける


一筋の光が差し込む薄暗い場所で

わたしは優しいお化けのクロスケと出会った


きっとわたしたちはいいお友達になれる


そんな気がした



第三章

シロナが目を覚まして3日がたった

実際には時間の感覚もないので正確なところはわからないが

シロナが疲れて眠るタイミングを1日の終わりとして数えるようになった


彼女はいつも肌寒そうな格好をしていたので暖かい服を探してみた

しかし子供用の服はどれも一回り小さい

仕方なくありものの布を繋ぎ合わせて上から羽織れるポンチョのような物を作って着せてあげた

ツギハギだらけの不恰好なポンチョだったがシロナは気に入ってくれたようだ

「ん〜おはようクロスケ〜」

ポンチョにくるまって寝ていたシロナが起き上がる

今日から4日目が始まる


私はシロナにクロスケと名付けられた後

身振り手振りでシロナが上から降ってきたことを伝えた

どうやら私は長い間喋らなすぎて声の出し方を忘れてしまったらしい

それでもシロナはこちらの言いたいことを感じとってくれた

「あの光ってるところに行くの?いけばお家に帰れる?」


、、少し違うがあそこに行けばこの子がどこからきたのかわかるかもしれない

コクリと頷く

「!!」

帰れると分かり、パァと表情が明るくなる

、、少し罪悪感を感じる

帰れるかどうかは実際に行ってみなければわからない

それでも、帰れると信じてみる

信じないと始まらない

そんな気がした


現在シロナと共にガラクタの中から上に登るのに使えそうな物を探している

使えそうに無いものは光の真下のあたりに置き、登れるように積んでいく

ここのガラクタ達は大きい物でも発泡スチロールのように軽かった

シロナはとても驚いた様子でこちらをみていた

シロナも試しに運ぼうとしてみるがびくとも動かない

「凄い!クロスケはとても力持ちなのね!」

っと目をキラキラさせながらこちらを見ていた

、、重さを感じないのは私だけなのだろうか


ガラクタの整理をしていくと

何故だか懐かしく感じるものもあった

例えばこのタンス

鼻歌を歌いながら服を選ぶ映像が浮かんでくる

しかし、顔にはモヤがかかっていてよく見えない


、、、昔使っていたものなのだろうか?

そんなことを考えながらも2人で整理していく

小さくて軽そうなものはシロナが運んでくれた


「、、クロスケはいつからここにいるの?」

ふと疑問に思ったのか

シロナがそんなことを聞いてきた

、、そう言われても、私には答える術がない

どう伝えようか考えているとシロナが先に話し出した

「ずっとここにいるの?1人で?」

コクリと頷く

「そっかぁ、、」

、、少しの沈黙が続いた

そのあと

タッタと走ってくる音が聞こえてくる

とんっと背中になにかが当たる

、、僅かに温もりを感じる

シロナが背中に抱きついてきていた

「寂しかったね、、」

背中越しでも彼女が泣きそうなのがわかった

ずっと1人でいるのを想像してしまったのだろう

優しい子だ、、

見ず知らずの私にここまで感情移入してくれるなんて、、


(、、そんなに悲しまないで

シロナが思ってるほど私は辛くないよ

だってここに居たからこそシロナに出会えたのだから)


、、そう伝えたかった


伝えられたらいいのに、、


そんなことを嘆いていても何も伝えられないまま終わってしまう

、、伝えられない代わりに

シロナの頭を


優しく、、


優しく撫でた


その瞬間だけは優しい気持ちが空間を支配し

穏やかな時間がゆっくり過ぎて行く

そんな気にさせた



第四章

クロスケは目の前で黙々とガラクタの整理をしている

わたしはガラクタの整理に疲れて少し休憩をしながら、その様子を眺めていた

使えそうな物と使えない物の分別はだいたいできてきた

真ん中のガラクタ山は光まであと少しというところまでクロスケが積み上げてくれた

あとは使えそうな物で梯子でも作れれば辿り着けそう

(とは言ってもわたしはほぼ何もしてないけど、、)

わたしは軽い物を運ぶくらいで大体のことはクロスケがやってくれた


でもわたしが考えてクロスケが動く

そうやって協力してできた山に

わたしは達成感を感じていた


「あと少しだね!!あとは梯子を作れば光ってるところに行けるよ!」

そう話しかけると、クロスケがこちらを向いた

最近は何もしてなくてもクロスケの気持ちが分かるようになった

「頑張ろうね」

そう言ってるように感じた

私は満面の笑みで返事をして見せる


2人で梯子を作っているとき

ここから出たあとについて考える

(お父さん心配してるかな、、

早く帰ってあげなきゃ

お父さん、、私が居ないと何もできないからなぁ)


わたしの家は片親で

お母さんは3年前に交通事故で亡くなった

わたしはまだ小さかったころの話なのであまりお母さんのことは覚えていない

しかしとても優しい母だったのを覚えている


片親になってからは忙しいお父さんの変わりに家事の手伝いを進んでするようにした

だからわたしが帰った後

家が散らかっているに違いない


(、、沢山探してくれてるかもしれない

怒られちゃうかな、、

もうすぐ帰れるから待っててね)


そんなことを思いながら光を眺めていたらクロスケがこちらを心配そうに見ていた

「ごめんね、考え事してた!しんぱいしなくても大丈夫だよ!」

そうだ、、もう一つ気になることがあった


「クロスケは、、私が光の所に着いたらどうするの?」

「また1人になっちゃうの?」


、、どれだけ聞いてもクロスケは何も言わない

それでもまた1人になってしまうということはわかった


「一緒に行こう?クロスケが助けてくれたってお父さんに言えば一緒に暮らせるかもしれない!」

勇気を出して言葉にする

お父さんの説得は精一杯頑張ろう

このままクロスケを1人にさせるのなんて絶対に嫌だった

真剣な眼差しでクロスケの返事を待つ


クロスケは光の方を暫く眺めた後、コクリと頷いた。


「!!」

嬉しかった

もうクロスケは1人にならないんだ

これからも一緒に居られる


そんな未来の想像をしてウキウキした気分で

鼻歌なんかも歌っちゃったりして

わたしは梯子作りを手伝った



第五章 クロスケ前編

30日目

最近、シロナの眠る頻度が増えている

日を重ねる度に起きていられる時間はどんどん短くなっていた


(、、彼女にはあまり、時間が残されてないのかもしれない)


梯子が完成し、後は登るだけとなった

ツギハギだらけで不恰好な梯子だ

強度は出来るだけ上げているが大丈夫だろうか、、

少なくともシロナだけならば問題なく使えるであろう


(、、急がなければ、、)

たとえ自分が登れなくても

時間の限られていそうなシロナが先に登れればそれでいい

私には時間が沢山ある

シロナが登ったあと

1人で梯子の強度を上げればいいのだから


急いでガラクタ山を登ることにする

シロナが先に登り、私が後から登る

シロナが足を滑らせても守れるように

彼女の行動を注視しながら登っていく


一歩一歩慎重に、


確実に登っていく


途中途中で休憩や睡眠を挟みながら

「あと少しだね、頑張ろうね」と

お互い励まし合いながら登る


道中、積み重なったガラクタに目をやる

積み上げている最中にも感じていたが、やはりどこか懐かしい


フラッシュバックしていく色褪せた記憶

最近では会話の内容なんかもノイズ混じりで聞こえてくる

料理しながらの朝の会話

誰かと喧嘩したときの会話

大切な誰かとの、、かけがえのない会話

大事なところはノイズが入って聞き取れない

顔も、モヤがかかって見えないのは変わらなかった


あとほんの少し

でも決定的な何かが思い出せない

そんな感覚だった


ガラクタ山の頂上につき、梯子を光の入り口にかける

梯子を登っている最中に眠気に襲われないように

シロナには先に少し眠ってもらうことにした

私の膝を枕にすやすやと眠るシロナ

体温も、前より低くなっている気がする

、、もう少しだ

シロナが眠っている間、頂上にあるガラクタを眺める

光が近いのでガラクタたちもよく見える


(このガラクタたちも役に立ったな、、)

そんなことを考える

ふと、1つのガラクタが目につき拾い上げる

それを見た瞬間ハッと気付く

(あぁ、、そうか、、ここにあるガラクタたちは、、、)

私は“全てを思い出した“


第五章 シロナ前編

夢を見ていた気がする

クロスケが家族になる夢

お父さんと、わたしと、クロスケが

3人で仲良く暮らしている夢


わたしは目を覚ました

見上げるとそこには眩しい光とクロスケが見えた

そうだ、わたしたちは梯子を登る手前で休んでいたのだった


わたしが起きたのにクロスケが気づき、手を取って立ち上げさせてくれた

「おはよう、ありがとね」

挨拶を軽く済ませて梯子に向かう

いよいよだ

元気も充電したし大丈夫だろう


クロスケが梯子を支えてくれてる間にわたしが登り、後からクロスケが登るという作戦で決まった


先に梯子を登っていく

光の先へ

真っ直ぐと

お父さんとわたしとクロスケ

3人で仲良く暮らす未来を想像しながら

最初はお父さんも戸惑うだろう

でも、クロスケの優しさを知れば

きっと仲良くなれるから

下はクロスケが支えてくれてるので怖くはない

梯子を登りきる

薄暗い穴の中とはうって変わって

真っ白で暖かい空間が広がっていた

しかし今は感動している場合じゃない

わたしは振り返り穴の中を覗き込む


第五章 クロスケ後編

梯子の根元

上からシロナの声が聞こえてくる

「登れたよー!クロスケもはやくー!」

光の先から声が聞こえる

(よかった、、間に合った)

ホッと息を吐く


でもごめんね、、

私は行くことができない、、

私はじっと、梯子の前でシロナを見上げていた


「??どうしたの?早く登ってー!」

梯子を登らない私を見て

疑問を感じながらシロナが叫んでいる


光の穴が少しずつ塞がっていく

「!?どうしよう!穴が塞がってきた!何してるのクロスケ!早く来て!」

必死に叫ぶシロナ

私はただただ

それを見守る


(何故あなたがここに来てしまったか分からなけど、、あなたにはまだ早すぎるわ)

(お父さんにも、、よろしく伝えてね)


伝わらない思いを必死に伝えようとしてみる


「嫌だ!嫌だよクロスケ!一緒に行こうよ!」

泣きじゃくりながら叫ぶシロナ


(、、最後に)

光の穴がもう少しで塞がるという瞬間

クロスケを覆う黒いモヤが晴れていく

手を振りながら

忘れていた声が初めて響く

「最後にあなたの顔を見れてよかったわ!シロナ!」


(元気でね、、シロナ、、)

穴が閉じるのを見送った彼女の顔は

シロナにそっくりの顔をしていた


真っ暗の部屋のガラクタ山の頂上

下の方から新たな光が差し込んでいた

(、、、)

私はゆっくりと

足場のガラクタたちとの思い出を

大事に

1つ1つ噛みしめながら

ゆっくりと降りていく


光の前に立つ

少し緊張するけど大丈夫、、

私は全部思い出したのだから

きっと天国に行ける

力強く一歩目を踏み出す

右手には

幼いシロナが映る家族写真を握っていた


第五章 シロナ後編

光の先

わたしは泣き崩れていた

最後に見たクロスケの顔

あれはお母さんの顔だった


ずっと会いたかったお母さん

(お話ししたいこと、いっぱいあったのに、、)

もう会えないのだろうか

暫く泣き叫び、ゆっくりと立ち上がる


(、、ずっと泣いていたら、お母さんが悲しんでしまう)

グッと涙を堪えて前へ進む


またお母さんに会えたのだって奇跡なのだ

最後の最後くらい成長した自分を見せなくては、、

そう思いながら一歩一歩進んでいく

次第に辺りは眩しい光に包まれていった

(ありがとうお母さん、少しの間だったけど一緒にいれて嬉しかった)

最後に後ろを振り返り

心の中でお礼を言った



目を開けると白い天井が広がっていた

体は痛くてとても動かせない

首だけは辛うじて動かせたので辺りを見渡す

病院のようだった

ガラガラっと音を立てて扉が開いた

慌てた様子の看護師さんが駆け寄ってくる

「!?嘘、、目を覚ましたの?具合はどう?痛い所無い?」

「あそうだ!!先生!センセー!!」

またしても慌てて出て行く看護師


あとから聞いた話

わたしは交通事故に合い、生死を彷徨っていた

意識を取り戻したのも奇跡だったらしい


お父さんも慌てた様子で部屋に入ってきた

「よかった、、お前まで逝ってしまったらって、、僕は、、ずっと、、」

お父さんはわたしの手を握りながら静かに泣いていた


心配させてごめんね、、元気になったらわたしの話を聞いてね

きっと驚くから、、

驚くお父さんを想像して

早く元気になろうと誓った


こうしてわたしの不思議な体験談は幕を閉じる

病室のベットの棚には昔の家族写真と

ピンク色のクマのぬいぐるみが飾ってあった

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