第2章 4話

 転生完了から一時間と少し。

 

 アーレンス領の南東部【ラウルの森】にて襲いかかってきた大量の魔物の討伐を終え、家に戻る方法を思案していた俺は現在いま転生を果たす前のこの躰の持ち主である――ユウ・アルン・アーレンスが従者と乗って来ていた馬車が放置されている地点へと向かっていた。


 転生前の記憶の整理をしていた俺のもとに突如、通信魔法を通して煽り――もとい助言をくれたどこぞの女神様に言われたからだ。


 『可愛い可愛い女神フィリア様が今にも泣き出しそうな少年に助言をしてあげます。――お家に帰りたいならぁ〜、とりあえず襲われた地点まで戻ってみるといいよ、ボッチ童貞の ユ・ウ・くん♪……え?なんで戻る必要があるのかって?そんなのは自分の頭で考えてくださーい。まぁでも、ヒントくらいならあげなくもないわよ?た〜だ〜し〜、「ボッチで童貞でフィリア様がいないと何もできない僕にヒントを下さいお願いしますぅ〜」って言えたらね♪』


 ――と。


 その後フィリアに『【魔力探知まりょくたんち】を使ってみなさい』というヒントをもらった俺は、――ちなみに彼女の隣にいたアレスのおかげで「ダメダメな俺にヒントをくれ!フィリアがいないとダメなんだ!!」といった感じの台詞セリフで勘弁してもらった。――その魔法を使用し、馬車を放置した地点にまだ息のある人間が数人いることに気がつき、フィリアの助言に従うことにした。

  

 とにもかくにも、馬車を放置した地点まではあと数メートル――。


 茂みを掻き分けながら前進していると、微かにだが男の声が聞こえてきた。


 「この声は………っ!」


 俺は声のした地点へと急ぐべく駆け出した。


 茂みを抜けた先にいたのは、処々に魔物に襲われた痕のある執事服を着た老人と額から血を流している若い――というか、どこからどう見てもメイド服を着た少女だった。

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前職ボッチの俺が築く異世界転生録 ○○○ @ranndoserude45

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