二度目の生

@Rustfeast

第1話

僕はある本が好きだった

それは、執事と魔女の恋愛物語の本

寝る時も持っていた

遊ぶ時も…


本はいつのまにかどこかへ無くしてしまった..


……………………………………………………


「今日こそ勝つよロイ!!」

透き通るような水色の髪の少女が青年(?)に切りかかる


「ハイハイおいで〜」


青年は少女の剣を後ろへ流し少女を抱きとめる


勝負が着くのは一瞬だった


「だ・か・ら!!抱きしめるな!!」


少女が荒々しく言葉を吐く


「いやぁ抱きしめてないよ?お嬢が飛び込んできただけ..」


青年の言葉は少女の蹴りによって止められた


「イッタァ」


少女はフンと鼻を鳴らすと青年の拘束を解いた


……………………………………………………


「あのさぁお嬢、剣の訓練やめない?

僕はお嬢を毎回抱きしめなきゃならないんだよ?」


ロイが茶化すと少女はあからさまに不機嫌になる


「いやだ!!大体名前で呼んでいいって言ってるのになんでまだお嬢なの?お嬢お嬢お嬢お嬢って!!」


・・・


「わかったよスイ、それでなんでまた剣の訓練なんか...」


剣の訓練など普通の令嬢にはありえない行為傍から見ればスイはただの変人でしかなくロイがそれに疑問を抱くのも当然だった


「来年成人の義があるでしょう。だから練習してるの」


スイが自信に満ち溢れた表情で胸を張る


「 ? 練習?なんで?」


え?という目でスイを見る


「え?」


?と二人が見つめ合う



「全然違うよ...成人の義って言うのは大人になりましたよって祝うものだし大体スイの言ってるのは男のほうでしょ、女性は別に関係ないの」


どんだけ箱入り天然なんだ...と思うロイであったがその原因である青年は全く気づいていないようだった...


「ふーん、まぁいっか。ほら次やるよロイ!」


「はぁ、まぁいいけど。」


必要ないと知った上でそれを続けるスイの性格はロイも好ましいと思っている


……………………………………………………


「お腹空いたしそろそろやめよ」


あれから随分と時間もたち時計も昼の時間を指していた


「うん 私もお腹すいた..」


スイが剣を杖のようにして立っている


午後も訓練をするかとロイが聞いたがスイがまた明日やると言ったので本日の剣の訓練は幕を閉じた


家に入るとスイは浴室へロイは食堂へと向かった


「30分ぐらいで出来ると思うから。あんまり長湯しないでよ!」


強めに言ったのは理由がある。

スイは過去に何度もお風呂に熱中し。

その度にロイか待たされているからである


「わかったってば、もうしないもん。」


スイが頬をふくらませながら言う

しかしスイがそのセリフを過去に何度言ったかをその度にロイは思うのだった


30分程するとスイが浴室から上がってきた


「髪乾かすからこっちおいで」


ロイは風魔法と炎魔法を器用に使い髪を乾かす


「ありがとう」


魔道具で髪を乾かしてもいいのだが、断然ロイの方が早い。

そして何より2人はこの時間を大切にしている


「うわぁあ美味しそう」

スイが目を輝かせながら料理を見る


「ありがとうロイ」


令嬢であれば当たり前の食事に対してスイは毎回驚くような反応を見せる。

まるでそれが当たり前ではなかったように、


「さぁ食べよ」


2人が手を合わせる


「「いただきます」」


美味しそうに料理を食べるスイにロイはなんとも言えない感情に包まれていくのだった
























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