ジャンルや出てくる要素、他の方もおっしゃっている通り、何でもありの世界観。なのにそれら全てが喧嘩していない。「散らばっていて、理路整然としている」という言葉がこの作品を読んだ上で思い浮かびました。
この世界が舞台、で、歴史も同じ道を歩んでいるはずなのに、何かが違う。
その決定的に違う「何か」というのがこの作品の魅力なんじゃないかと思います!
内容だけでなく、描写の方法!
一言一句、キャラクターの一挙一頭足全てが伏線になりうる圧倒的なボリューム!パズルを解くように何度も何度も読み返せる作品です!というか、読み返さないと全てを理解できない!全てを理解した時に得られるカタルシスは凄まじいものでした!
読み応え、考察のしがいがある作品です!!
作者さんの膨大な量の知識、好み、フェチ、性癖に圧倒される一作! 小説という鍋の中で山海の珍味盛り合わせみたいな豪華なネタが、これでもかという熱量で煮えたぎっている作品です。
現実の歴史ネタ、軍事ネタが作品の中で大量に引用されており、その料理の仕方が実に面白い。これで処女作というのだから末恐ろしささえ感じられるカロリーをほこる作品となっています。この作品に登場したネタをから学ぶとまたいっそう面白い! 読み込めば読み込むほど味の出る作品ですね。
流行りのファンタジーに飽きた方々に特にオススメ! こんなSFが読めるWeb小説界、まだまだ捨てたもんじゃない!
物語の舞台は、西暦2098年の地球から始まる。
極東の地を呑みこみかけた大災害を機に、世界は第3次世界大戦へと足を踏み入れていた。
そこへ突如、姿をあらわした異形生命体。
平和だった世界は、血の混じる風に吹かれ――。
――200年後。
かつて青く美しかったこの星は、虹色の油に覆われ、見る影をなくしていた。
物語は”前提”から衝撃と謎を与え続けてきます。
限りなくリアルな背景と疾走感のある戦闘シーン、事細かに貼られた伏線の数々……。
特にこの物語を彩り、支えるのは、作者様の深い知性と知識です。
濁流のような文体に、様々な分野の偉人が残した名言や、名作のオマージュ、心理学や生物学などの専門知識がポトリと落とされるんです。
これは伏線か、あれは伏線だったのか、”それ”はどういう意味を持つのか。
頭を掻き毟りながら何度も何度も読み込み、そして理解できた時。
我々は長年実験を繰り返し、ようやっと成功した時の白衣を着た研究者のように、空を仰ぐでしょう。
誰にも媚びない、知性の塊のような作品です。
読まないのは、もったいない。
一度手に取ることをおすすめします。