第7話

「とにかく兵士たちに見つからないように白い建物の中に行って見よう。なにかが・・・なにがあったのか分かるかもしれない」

「みんな、気を付けろよ」

 一士は注意深く周りを観察した。だだっぴろい廊下がどこまでも続いていた。白い建物の外観も大きかったことは大きかったが、建物の中は想像以上の広さが感じられた。

「何処へ連れて行かれるのかしら?」

 君代が一士の耳元に話し掛けて来た。とにかく現状を把握しなくてはならない・・・と、一士は思った。連れて行かれる誰も今の状況を把握していないのである。

 兵士の一人が睨み付けて来た。話しているのに気付かれたようだ。黙れ・・・と言うのであろう。白い銃の柄で一士の頭を殴り掛ろうとした。

「止めて・・・」

君代は叫んだ。

「黙れ!」

兵士の一人が怒鳴った。そして、白い銃で一士に殴り掛ろうとした。

「止めろ!」

 と、上官と思われる兵士が怒鳴った。

上官は鋭い眼を睨んで、そのまままっすぐ歩けと指示をした。

一士たちが何処へ連れて行かれるのか、すぐに分かった。細い階段を降りて行く。相当深い所まで行くようだ。辺りは暗く、ヒンヤリとしている。

 この時、これから行こうとしている先で激しい物音がして、人が騒いでいるようだった。その騒々しさの波が一士たちの方に押し寄せて来た。先導する兵士たちがざわついていて、兵士の何人かが奥の方に走って行った。

だか、すぐに走って行った兵士たちは逃げるように戻って来た。

「戻れ」

何かが起こったらしい。

「暴動なのか?」

一士は呟いた。

奥に向かって行った兵士たちはすぐに追い立てるように、急いで戻って来た。

「行け。どけ。早く戻るんだ」

一士は何が起こったのかまだ理解出来ていない。

「反乱だ。暴動だ」

その言葉を聞いて、何かが起こったのには違いない。そう理解したが、まだこの星に何が起こったのか理解していなかったので、どう反応・・・動いたらいいのか分からなかった。だが、一士は、

「みんな、逃げよう」

と、叫んだ。

みんなはすぐに反応した。だが、まだ十分に何が起こったのか理解していないからどう動いたらいいのか分からなかった。それは一士に限らず、君よたちだって同じであった。

「戻りましょ・・・。これ以上前に進めないのだから戻るしかないんだから・・・ね。とにかく戻りましょうよ」

と、君代がいった。

「そうだな」

一士が同意した。狭い階段は兵士や下から登って来た人たち・・・捕まっていた人たちで身動きが取れない。ほとんどの人がいなくなったようだが、こんなに多くの人がまだ生きていたのだ。

「みなさん、いきましょう」

一士は連れて来られた三人に声を掛けた。

と、      

その時、一士の肩を掴むものがあつた。振り向くと、

「・・・・」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

双頭の白い竜 青 劉一郎 (あい ころいちろう) @colog

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る