20話 闇に潜む悪魔、天空での懺悔を

賢者と罪人は空高くへ飛び上がる。

これは、姉弟の贖罪

一時ではあったが世界を闇に染めた大罪人


賢者は世界の秩序を守る者達

な罪人に対する裁きは、平等に与えられる


「賢者の力、とくと思い知りな〜!エドワード」


レイは自信満々に豪語する

エドワードは知っている。彼女の強さを。

賢者の力を。この二人がいなかったら今回の事件が解決することは無かったのだから


そう、アビスは何もできなかったのだ。

小さな英雄と称えられていた彼だが実際はまだまだ戦いを知らない素人。

そう、知らないのだ


戦闘は熾烈を極める

アンビとエドワードは魔力を纏った大きな槍をセシルに向かって放つ。


だがそれをセシルは圧倒する。

指2本掲げる。それだけで2人の槍を止めて見せる。


「あなた、さっきはそんな力無かったわよね…」


「えぇ、これが賢者よ」


セシルは2人の周りに魔法陣を出現させそこから、無数の魔弾が放たれる


「姉さんまずいこれ」


「大丈夫よ」


アンビはそれに対抗して紅い雷の衝撃波を放つ。それは周りに流電する


「くっ…」

それはレイに被弾した


「今よ!エドワード!」


エドワードがレイに向かって槍を投げ、それは鎖となりレイを縛り付ける


だが

縛られているのはエドワードの方だった


「なっ!?」


「エドワード、終わりよ」


レイの電撃魔術が放たれる


空気が揺れる。まるで雷でも落ちたかのように、エドワードを襲う。


「あ、がっ…」


エドワードがその場から落ちていく


「エドワードっ!!くっ…」


「よそ見してる暇なんてあなたには無いでしょう!」


アンビは既にセシルに上空を取られていた

全ての動きが超越しているセシルに、彼女は察した。


彼女には、勝てないと


セシルは慈悲無くとどめの一撃を放つ。


「無幻眼•火雷」


アンビの周りに静電気が流れ出しそれは瞬く間に豪雷へと姿を変える。


「うっ…あっ…」


アンビは地上へと落ちていく

決着はついた

賢者の圧倒的な力の前に贖罪は完了したのだ


そして、1週間後


「あだだだだっ!!」


「こんな骨をバラバラに折られるなんてあの門番も相当よ…」


俺はあの事件で、門番との戦いに負けた。

何もできないまま、みんなの足でまといになって…


「今回で懲りたでしょ、戦いがどれだけ過酷で危険なことか」


俺の治療をしながらセシルは軽く発言する

あぁ懲りたさ。懲りたけど…俺は


「けどやめないからな」


はっきりとそう言ってやった

みんなを救ってチヤホヤされたいからだとかそんなくだらない理由じゃない。

確かに俺はみんなから救ってもらった礼を受けて自分の力を過信してしまっていた。


だからこそ、俺は知った。

戦いの危険性を。生半可な覚悟で踏み入れる世界じゃないと


「……そう言うと思った。あんたがそこまで言うなら私も色々と教えてあげる」


セシルは少し俯いている。

まぁそりゃあ…育ててきた相手がこんな危険な目にあったら気が気じゃないだろう。


わかってる…わかってるんだ。

だからこそ俺は


   あ の 日 常 を 守 る 


は、いつ崩れてもおかしくない。


なんとなく顔を合わせた2人が、突然永遠の別れを突き出されることだってこの世界にはあり得る


だから、俺は戦う


「あぁ、もっと俺は強くなりたい。教えてくれ、セシル」


「だったらまずは、ここに行ってきなさい。ここで剣術と魔術の両方を学びなさい」


セシルから紙を受け取る。

そこには


「アーガイズ?」


アーガイズ、そう書かれていた。


「ここに私の知人のダリルという男がいる。その人に私の紹介で来たと言って、剣術と魔術を学びなさい。」


「……あぁ、やってやるさっ」




紅蓮の悪魔編 完


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虚像の理想郷 なぎ @Nagi_1938

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