あとがき
改めまして、はじめましての方、いつもお世話になっている方、宇乃夏といいます。この度は「エナメルの夏」をご覧いただきありがとうございます。
もともとこの物語は中学時代、高校時代の二部に別れていて、かつ中学時代の話も、もっと長いスパンで考えておりました。話が長期化するにつれて、徐々に嗜好が変わったこともあり、もっと要素を入れ込みたいと思いはじめました。結果、阿須賀と雪見を主人公にした話が三つにわかれ、そのなかで「青春時代の忘れられない出会いと別れ」の要素を重きにおいて書いたのが、この「エナメルの夏」となります。
イメージソングとして色んなアイドルグループの楽曲を参考にしており、少し前まで「夏の名前」というタイトルでした。
アイドルっていいですよね。最も美しく短い少年~青年期、成長を見守る傍ら、決して永続しない退廃的娯楽。美しい人の最も美しい期間の人生を切り売りする商売は潔くて、かつ最も人間的な狡猾さがあって好きです。自分の人生を過去に遡って切り売りできたら最高だなと思います。田舎のしがない女子高生だった時代を、それを体験したい誰かに売ったり。売った過去は自分の記憶からは消えてしまうんですが、赤の他人の体験としてたまに覗くことはできます。お金を支払えない場合、対価として購入者の人生を同期間もらいます。例えば、誰かの大学の三年と私の高校三年をトレード。バイキング形式でもいいです。長年つきあった彼女にフラれる三十代を一年と、成金金持ち時代だった少年期を二年とか。いいですよね。何言ってるんですかね。
残りの二作品と、また阿須賀の一族(「きつねおち」と名付けました。彼らは共通して物の怪と見紛う程美しく、不思議な能力を持ち、そして短命です。表向きは……。)の物語についても絶賛執筆中です。いつかどこかで発表出来たらと思ってます。
「夏」「少年」「別れ」というテーマで物語を書くことができて楽しかったです。今後も耽美・退廃、青春をもとにした、美しくてどこか切ない話をたくさん届けられたらと思います。
三週間お付き合いいただきありがとうございました。
百合も薔薇も雨の日の紫陽花もすきです。今後ともよろしくお願いします。
令和三年 七月某日 宇乃夏
エナメルの夏 宇乃夏 @KinoAram
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