断言するが本州から出ることすらできていない
途方に暮れる夢を見た。
何かの表彰で北海道に行かなければならなくなった私は小学校のときの友達の家っぽいところでゴロゴロとくつろぎきっていた。
仮に彼の名前をKとしよう。
Kは私よりも時間を気にして「空港に行かなくていいのか」「飛行機は飛ぶのか」などと心配していた。
そんなKを尻目に私は一人でマリカーをやっていた。
あの夏、Kの家でやっていたのはマリオRPGであってマリカーではない。
夢で見たKの家はKの家ではなかったがKの家であると認識できた。
Kの家はやたらと玄関が広く、学校の脱靴場のようであった。
そろそろ出るか、とタイムリミットのギリギリを攻めきった時間。
私は旅支度を始める。
鞄を開いたがアイロンのかかったシャツが入っていない。
「まあこれでいいか」とTシャツが入っているのを見て納得した。
Kは良くねえよ、という顔をしていた。
なぜか職場のベテランのおねいさんが玄関先に私を呼びに来た。
いつもの通勤服でTシャツの入ったいつもの通勤鞄を持ち、玄関に向かった。
脱靴場のような広い玄関。
玄関の床をローファーが埋め尽くしていた。
私の靴がわからない。
いよいよヤバい。
なぜか左側の靴だけはすぐ自分のものがわかった。
右の靴がわからない。
似たようなものを拾い上げても、踵の硬さや靴裏の擦り減り方の違いに気付いて自分のものではないとわかってしまう。
焦る私の横でベテランのおねいさんは「飛行機に間に合わないなら今から新幹線をおさえるしかない」と言う。
「そうしようかなぁ…」とプランBとしてはまんざらでもなさそうに返す私。
目的地は北海道だぞ。
目を覚ませ。
そこで覚めないのが夢である。
どうやってたどり着いたのか、私は体育館にいた。
どう見ても北海道ではない。
地元の中学校の体育館だった。
卒業式のようにパイプ椅子が並んでいる。
不規則に着席した人達の間を「すいませんね、すいませんね」と言いながらすり抜けてステージ横の扉を開けて控室に入った。
相変わらず右足はタイツだけで靴は履いていない。
左足だけローファーを履いているので靴裏分左のほうが高くなってしまって、左右で体が歪んでいる感覚がはっきりしていた。
「ああ、体が歪んでいるな」と思いながら「よし、間に合ったな」などと安堵していた。
するとなぜか教員らしき人物が私宛に電話があったと伝言を持ってきた。
「ここは表彰式の会場ではないです(なんなら北海道にすら上陸できていない)」
申し訳なさそうにそう告げるのだった。
私は「えー……どうしよ」と、その段階になってキャンセルの連絡を入れようか悩み始めていた。
そこで目が覚めたので夢の私が怒られたのか、賞はちゃんともらえたのか、そもそも何の賞だったのか顛末はわからない。
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