山陽本線に二子屋駅はございません
とても疲れる夢を見た。
山陽本線じゃない山陽本線でぶらり途中下車の旅をしていた。
道連れは知らん人達。
知らん人達と旧知のノリで接しつつ車窓からの景色を見ては「ここ来たことある!」「知ってるここ!」などと盛り上がっていた。
知らん。
そんな川を挟んで山の斜面を工場が埋め尽くす地帯知らん。
下りた駅の名は「二子屋」。
山陽本線にそんな駅はない。
工業に囲まれながら川べりに建つ大病院。
駐車場もロータリーもなく道路即エントランスといった造りである。
隣接する工場とはおそらく一般家屋同士ほどの隙間しかない。
たぶん建築法の何かに怒られる。
夢の中ではマジカル視力なので100mほどの川幅を挟んだ向こうの様子もよく見える。
工場から黒スーツの男達が傘をさしてぱらぱらと出てくるのもよく見える。
黒スーツで黒い傘。
みんなおそろい。
一人だけ身長3mくらいのがいた。
傘の柄は10mくらい。
傘を広げた直径は5mくらい。
彼らは坂道も階段も厭わず徒歩で行く。
いつの間にか河川敷に降りていた私達は中洲を歩いていた。
黒スーツの男たちが傘をさしていたということは雨が降っていたはずだ。
中洲にいては増水したときに対処できないかもしれない。
しかし中洲にいたのだ。
いつの間にか。
なぜか。
そういう夢だから。
川は浅く、きれいとは言えないまでもドブ川というほど汚くもない。
中途半端な川。
川底は何かが掘り返したようにボコボコとへこんでいた。
何かで掘り返したように、ではない。
何かが掘り返したように、だ。
川に棲むものが作った地形だった。
では掘ったのは何か。
ジュゴンのようなものだ。
それは白く、大きく、ずんぐりした胴体を持ちながら魚と呼ぶにはもち肌で、うろこが見当たらなかった。。
ジュゴンやマナティーに近いビジュアルではあったが魚だと判断した。
それの死骸は太い紐がほどけるように分解が進んでおり、その部品は白い魚だった。
3m〜10mほどの白いもち肌の巨大魚が棲む川に立つ私。
白いもち肌の巨大魚は同類の死骸を食っていた。
あとは川底の砂を掘ったり眠ったりしている。
襲ってくる様子はないがこのままではまずいと理解していた。
だから中洲で遊ぶなと言ったんだ。
そういえば腹も減っている。
途方に暮れていると同行者の一人が言った。
「この子達言葉が通じるみたい。後で高い栗を持ってきてあげるって言ったら安い栗をくれた」
もち肌の魚がくれたという栗は焼き栗で、赤いインクでプリントされた黄色い紙袋に入っていた。
そこで目が覚めたのでなぜもち肌の巨大魚が焼き栗を持っていたのかはわからない。
ただ、寝起きに疲れていたし背中の右半分に筋疲労を感じたからとてもピンチだと感じていたように思う。
もう二度と二子屋駅で下りて工業地帯を流れてる川の中洲を散策したりなんかしないよ。
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