第57話 そこに愛はあるのか

 私が星空(幻影)を創造してから一月後、日本政府は正式にレムリア王国と国交を結んだ。

 国連においても、レムリア王国が国として認められた。


 一方、アメリカ上空にはアトランティス大陸が移動して来ており、こちらは、アメリカと国交を結び、現在、アメリカと日本の仲介で、レムリアとの関係改善の話し合いが行われていたる。


 なぜこんなに急いだかというと、気候の変化に対する対策を早急に行わないと、地球が大変なことになってしまうからだった。

 レムリアとアトランティスの魔法技術を使えば、元の気候に戻すことは可能であるとのことだ。


 ただ、問題があったのは気候だけではなかった。


 重力が徐々にではあるが、沈力に置き換わっていることが確認された。

 このまま進むと、何百年後には、日本の物はレムリアに向かって落ちていくことになる。


 これも魔法技術で解決可能と思われるが、現段階では重力に代わる状態まで、沈力と浮力を自由に操作することはできていなかったため、その研究が急がれることになった。


 その研究が実を結べば、浮遊大陸を集めて星を造ることも現実味を帯びてくるため、特に魔王は積極的にその研究を支援した。


 世間が慌ただしく動いている中、私は相変わらずお寺でのんびりしていた。


 本来なら受験シーズン真っ只中で、こんなことをしていていいのかと思わなくないが、カンナちゃんに癒され、六実さんに世話をされ、時々アルフとイチャイチャする、この生活をやめられそうにない。


 実はこのお寺、公安が裏で密かに運営していた組織であったそうだが、私が来たことにより、立場が変わってしまった。

 今では逆にお寺が公安の一部の職員を操っている状態だ。

 ようは、公安の職員に私の信者が増えているということだ。


 星を創造し、星空を自由に動かせれば、それは神として崇拝されても当然だろう。


 その、星の創造についてであるが、一時的に星が創れなくなったことを、アルフと一緒に検証したが、アルフかカンナちゃんが一緒でないと創れないことはわかった。

 だが、その理由となると、わからないままだ。


 アルフは、魔力の供給が――、などと難しいことを考えているが、私は、そこに愛があるから、ではないかと思っている。

 私がアルフを愛し、カンナちゃんを愛しく思っているからこそ、星が創れるのだ。


 つまり、星は、二人の愛の結晶!


 なんて考えているのだが、恥ずかしくて、アレフにはこの考えを話せていない。


 果たして、そのことを話せる日が来るのか? やきもきする日が続くのだった。


【完】



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地球召喚 ~星見人(ホシミスト)女子高生は、アイに星空のユメを見るか?~ なつきコイン @NaCO-kaku

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