第51話 守り切る
月明かりは、その部屋にいる人間を平等に照らしていた。
ボスの上で寝静まっている部下、ボスの頭を抱え込んで睡眠中の女主人。そして、茫然自失のボスと、壁にもたれかかるオリジナル。
ボスは、掛け時計を見る。もうだいぶ夜も更けてしまったが、眠気はどこかにいってしまった。
部下と女主人を退けようと、もぞもぞ動くボス。ようやく2人から脱出すると、徐に立ち上がり、恐る恐る下半身を確認する。
「よかった.......。」
絞り出すようにそう言うと、口元に手を当て一粒の涙を流すボス。
彼の下半身には、異様な力がかかってしまい不揃いにはなってしまったものの、2つの護るべきものがしっかりとついていた。
「伸びすぎて本当にヤバい瞬間が何回かあったけど、よく守りきったね。」
ボスに拍手を送るオリジナル。力強く頷き満足そうにパジャマのズボンをはくボス。
今のボスにとっては、パジャマを履く程度の刺激でも痛みを感じてしまうが、それすらも誇らしかった。
「なんかごめんなさいね。妙な物を見せてしまって。」
謝罪するボスに対して、首を横に振るオリジナル。
「いやいや、おかげさまで人間の神秘を体験する事ができたよ。」
そして、あの子達が君達に勝てない理由もわかったよ。と笑いながら話す。
「とにかく、私はここらでお暇しようかな。あの子達をよろしく頼むね。」
そう言って、オリジナルは窓を開ける。
「まぁ、また会った時はよろしく頼むよ。」
今度会った時は、敵同士で戦わないといけないかもね。と冗談めかして言うと、外から風が吹いた。
その風に、一瞬目を細めるボス。次にボスが目を開けた時、オリジナルは忽然と消え去っていた。
これまでの出来事がまるで夢かのように、あたりは静まり返っている。ボスは、自分が疲れていたことを思い出した。
大きな欠伸をして、空いているスペースを探す。体を丸めてそのスペースに寝転ぶと、すぐさま眠りに落ちていった。
頼むから俺の前にいる女は泣き叫ばないでください〜ヤンデレ部下と3馬鹿魔法少女は俺の邪魔をするな〜 スパイスマン @spiceman
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