とりなおし
「ふじくん、おはよー。かわいい幼なじみのマイちゃんが、モーニングコールに来ましたよー。どすこい」
「うーん。あと五分。いや、じゃないな。今日の講義は五限と六限だけだよ。俺、昼飯まで寝るから、ほっといてくれ」
「だめでーす。朝ごはんを作るから、起きないとだめでーす。どすこい」
マイは俺の布団を引っぺがそうとした。俺は抵抗する。駄目だ。それは駄目だ。だって、昨夜は俺は、マイの夢を見ていたんだから。そして、今ちょっとギンギンのあれだから。
「ふじくん、また朝だから元気なの? あたしだってお子様じゃないんだから、そこまで恥ずかしがらなくてもいいよ。じゃ、ダイニングで待ってるからね。ちゃんと起きてきてね。どすこい」
朝食は目玉焼きとトーストだった。われわれは洋食党である。ちなみに、今回はマイは吐かなかった。毎度毎度吐いてるわけではない。そうだとしたらまた入院するしかなくなるわけだし。
で、マイの方は午前中の講義があったので、大学に行くのを見送り、俺は二度寝した。マイは午後の講義もあるというのにまた戻ってきて、俺のための昼飯をちゃんと作ってくれた。
「おひるは鶏白湯ちゃんこだよ。どすこい」
「うむ」
今回も吐かなかった。ただ、レシートにない板チョコが一枚、スーパーの袋の中に入っていた。俺はまたいつものように謝りに行って、金を払う。
俺たちは。
俺たちは、痛みを抱えて生きている。
だけど、生きている限り、人生というものに終わりはない。
一場所は十五日で終わり、勝ち越すことも負け越すこともあるけれど。
生きている限り、また次の場所はやってくるのだ。
それが人生というものだ。だから、俺は力士ではないし、マイも力士ではないが、俺たちはこれからも生きていく。きっと、最後の近づくその日まで、二人で。
俺の部屋に入り浸る幼馴染は可愛いが、力士じゃない。 きょうじゅ @Fake_Proffesor
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