うっちゃり

 四年前。


 俺は高校一年生で、受験を終えたばかりだった。


 高校の入学式のその日に。


 俺はマイに、恋心を打ち明けた。


 俺たちは、付き合い始めることになった。


 そして、それから四日後のことだった。


 俺と手を繋いで大通りを歩いていたマイの前に、ハンドル操作を誤ったダンプカーが突っ込んできた。俺は咄嗟に、マイを突き飛ばした。結果、俺だけが跳ねられた。


 幸いにして、この通り命は助かった。だが、俺は利き腕だった左腕を失った。それによって、かつて中学横綱となり、そして高校相撲の世界でも将来を嘱望されていた俺の力士人生は、完全に終わりを告げた。


 マイが食事を吐くようになり、そして飴やガムを盗むようになったのは、それからだった。

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