エピローグ

 午後九時になりました。

 今日のニュースをお伝えいたします。 


 先月に行われた日米首脳会談において多くの課題を抱えることになった坂口内閣ですが、日本国内での段階的な銃市場の開放化というアメリカ政府の要求に対し、わかりやすい結果で応えました。

 すなわち全米ライフル協会日本支部の発足です。


「イジメやパワハラやDVの抑止力になるのは銃だけです。ズドンと一発、即解決。この手にズシリと来る重さだけが信用できます。すでに予約の問い合わせが殺到していますが落ち着いてください。著名な銃器メーカーが続々と我が国に拠点を置き始めています。ゆくゆくはコンビニや自動販売機でも買えるようにしますので。日本国民がもっと気軽に銃が買えるように力を尽くします」

 全米ライフル協会日本支部代表の阿久あく正樹まさき氏はこのように語っていました。


 この件に関する藤波法相の、

「現行の銃刀法をわざわざ変えなくても柔軟な解釈をすればその枠内で収まるし問題はない。まずは上級国民に限り銃の所持を許可していくつもり。代わりに学校及び主要な施設に金属探知機を使った検査を義務付ければテロ対策にもなって一石二鳥になるのでは」

 との発言を受け、野党側はしばらく国会の審議を拒否すると宣言しました。


 次のニュースです。

 井の頭公園に出没していた両手にカマを持ったカッパがとうとう捕獲され、銃刀法違反の疑いで逮捕されました。

 その正体は自称お笑い芸人のザビエルザクレロこと瀬木河せきかわ鉄男てつお容疑者、56歳。

「ちょっと話題になりたかっただけだ。銃を持てるんならカマを持つぐらいは許されるべきじゃないか。俺っちはてっぺんハゲだからカッパだしザビエルだし、同時に芸名にザクレロが入ってるから両手にカマを持たないと。すべては売れるためのキャラ作りなんだって。こっちはもう後がないんだ」

 などと意味不明の供述をしており、警察は動機のさらなる追求を行うようです。


 続いてのニュースです。

 先月、牛丼大食い大会で入院した少女が無事退院しました。

「これにめげずに、次はホットドッグの大食い大会で優勝を目指したい」

 と、次の大会に向けて元気な声で意気込みを語っていました。


 以上、午後九時のニュースをお伝えいたしました。

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山本はヘッピリだけど殺る気はマンマン はらだいこまんまる @bluebluesky

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