異世界転移したら勇者の父!?生まれてくる子は全員勇者確定!えっ?誰が主人公のお話??

雲雀 大地(ひばり だいち)

どこにでもいるような普通のサラリーマンだ。

朝起きて始発で仕事に行き、深夜まで残業して終電で帰る、一般的なブラック企業に勤める普通のサラリーマンだ。


さて、そんな俺だが、目が覚めると全く知らない所にいた。

目が覚める前の最後の記憶と言えば、トイレに座っていたら急に意識が…だからか、何故かズボンをおろして横になっていたのは。

そして、周りには鎧を纏った騎士のような大勢の人間に、その中心にいる顔を紅く染めている、美しいドレスを着た女性が居た。


「初めまして、わたくしはエメラルド王国が女王<エミリー・ウォン・エメラルド>です」

「今回、世界の危機を救っていただく為、あなた方お二人を召喚させていただきました」


そう言われ横を見てみると、バスローブに包まれた女性居た。

そんな女性を見ながら、俺は一旦ズボンを上げて女王の方を見て


「おい、召喚っていうのはどういう事だ?」


「この世界では、世界の危機に別の世界より召喚されし勇者によって救われると言う伝承が多く残っています」


「それで、勇者として呼び出されたのが俺たち二人って事か?」


「はい。ですが、正確には勇者候補です。召喚された時点でステータスが割り振られていますので、そこで勇者であるかの確認が出来ます」


「ステータスだと?」


「はい『ステータスオープン』と言っていただければご自身のステータスが確認出来ます」

「また『ステータス開示』と言っていただければ他者にも閲覧が可能になりますので、わたくしにもステータスを見せていただけますか?」


「あの…私もその…勇者候補なんですか…?」


そう言って、バスローブ女子がとても静かな声で聞いて来た。


「はい、今回の召喚では本来一人の所、今回は何故か二人召喚されましたので、おそらくどちらかが勇者かと思われます」


「…どちらか?」


「はい、勇者とは世界に一人だけのジョブとなっていますので、お二人ともがと言うのは考えづらいです」


「…勇者ではなかった場合、私はどうなりますか…?」


「安心してください、勇者でなくても召喚したのはこちら側です。エメラルド王国の国賓級の客人として大切にさせていただきます」

「ですので、お二人ともステータスを確認し、ジョブを見せていただけますか?」


「良いですよ」

「…はい、わかりました」


『ステータスオープン』『ステータス開示』


そう言って、俺とバスローブ女子はステータスをエミリー女王に開示した。


====================

名前:雲雀 大地(ひばり だいち)

年齢:28歳

レベル:1/100

HP:1/100

MP:1/100

攻撃:1/100

防御:1/100

敏捷:1/100

運:100/100

子種:999/999


ジョブ:村人(勇者の父)


ユニークスキル:勇者の遺伝子♂

勇者の遺伝子♀との子供は100%勇者となる

それ以外との子供は0.01%の確率で勇者となる

====================


====================

名前:小鳥遊 空(たかなし そら)

年齢:18歳

レベル:1/100

HP:1/100

MP:1/100

攻撃:1/100

防御:1/100

敏捷:1/100

運:100/100

子宝:999/999


ジョブ:村人(勇者の母)


ユニークスキル:勇者の遺伝子♀

勇者の遺伝子♂との子供は100%勇者となる

それ以外との子供は0.01%の確率で勇者となる

====================


「…………………なんですか、このジョブにユニークスキルは!?」

「こんなジョブもユニークスキルも聞いた事ありませんですわ!?」


エミリー女王は二人のステータスを確認したが、どうやら初めてのジョブにユニークスキルで混乱しているようだ。


俺もバスローブ女子、いや小鳥遊さんもお互いにステータスを確認し、小鳥遊さんは真っ赤になりながら「あわあわあわあわ」と混乱してしまっている。


単純に読み解けば、俺と小鳥遊さんが事を行い、その末に出来る子供が勇者という事だろう。


小鳥遊さんは、ぶっちゃけ超絶美少女だ。


だが、俺はどこにでもいるようなおっさん。しかも毎日長時間労働で自分の事なんておろそかにしている為、髪もボサボサで髭も適当にしか処理をしていない。


そんなおっさん相手に子どもを作れとか、18歳の超絶美少女には無理ゲーだろこれ?


そんな状況を見てエミリー女王は


「あまりに不透明なジョブにユニークスキルですが、まずはお互い身なりを整えて、その後に再度お話をさせていただければと思います」


エミリー女王がそう言って、近くにいた執事に俺と小鳥遊さんの身なりを整えるよう指示を出していた。




そうして、数時間の時間をかけて身なりを整えて、俺と小鳥遊さんとエミリー女王の三人で夕食を取る事となった。


俺は執事さんに連れられ、まずは髭をきれいに剃り、髪も切りそろえてセットしてもらう。

服も新調し、貴族のような豪華な洋服へと着替えた。


そうして夕食の場へと向かうと、既にエミリー女王が席について待っていた。


そして女王は俺の方を向いて


「見間違えましたわ。先ほどは失礼ながら普通の御仁と思っていましたが、身なりを整えると王族と言っても良いほどに美しい顔をしていますわね」


「ええ、俺も今まで自分の事に気を掛けるなんてしてこなかったので知りませんでしたよ。思ってたよりはマシになっていますね」


「それどころか、この王宮内でも1・2を争う程の美形ですよ」


「そんなにですか?それなりぐらいかと思うのですが…」


そんな話をエミリー女王と話していると、扉をノックする音が聞こえ、一人の女性が入って来た。

そう、身なりを整えた超絶美少女小鳥遊さんだ。


「…あのー…、変では無いでしょうか?」


「「…………………」」


俺もエミリー女王も小鳥遊さんを見て、無言になってしまった。


「…あのー…、やっぱり変でしょうか…?」


不安になっている小鳥遊さんを見て


「いやいや、変じゃないよ。と言うか、可愛すぎて見とれちゃってたよ」


「そうですわ。小鳥遊様があまりにも美しすぎて、つい言葉を失って見とれてしまいましたわ」


「あうあう~、そんな事ありませんよ~。私なんて根暗で、クラスでもボッチの陰キャだったんですから…」


今どきの若い子はわかっとらんな。

こんな可愛い子を放っておくなんて。


「さて、雲雀様に小鳥遊様。お腹も空いてらっしゃるかと思いますので、まずは夕食をいただきましょう」


エミリー女王がそう言うと、俺たちも席について、次々運ばれてくる豪華な食事に舌鼓を打っていた。

食事を終え、俺はコーヒーを、小鳥遊さんは紅茶を飲みながら、今後についての話をすることとなった。


「まずは改めまして、エメラルド王国が女王として、今回は急に召喚してしまいました事、深くお詫びいたします」


そういってエミリー女王が深く頭を下げ謝罪の言葉を継げる。


「いえ、どうせ元の世界では社畜として生きる気力もなかったので、別にこれと言って思うところはありませんよ」


「私は、こんな性格もあってイジメも受けていて…、どこか遠くに逃げようか…自殺してしまおうか毎日考える日々でしたので…」


小鳥遊さんの目から生気が失われながら、元の世界での話をしていたので


「じゃあ、小鳥遊さんにとっては、元の世界の同級生に会う事の無いこの世界に来たのは良かったんじゃないかな?」


「そうですね…、嫌な思い出は沢山ありますが、そうですね。ここならあの同級生たちに会う事も無いですからね」


「それは良かったですわ。では今後についてのお話をさせていただいてもよろしかったでしょうか?」


エミリー女王がそう言うと、小鳥遊さんは顔を赤くして、一度俺の顔を見た後に下を向いてしまった。


「えっとですね、今後と言うのは、俺と小鳥遊さんの今後についてですよね?」


「はい、そうですね。世界の危機と言っても、今日明日に世界が滅んでしまうような状況ではありませんが、その…お二人の間に出来る子が勇者となると、いくらか時間も要してしまいますので、あまり時間がある状況とは言えないので…」


エミリー女王がそう言うと、下を見ていた小鳥遊さんが顔を上げ


「…あの…、私が子供を産んだら、世界が救われるのですか?」


「はい、世界を救うには勇者の力が必須です。そして小鳥遊様は勇者を生むことが出来ます」


「…それで、私の相手は雲雀さんなんですよね?」


そう言って小鳥遊さんはチラッと俺の方を見て、また下を向いてしまった。


「そうなりますわね。他の殿方との間にも生まれる可能性はありますが、1/10000の確立になりますので、どうしても雲雀様がお相手ということになりますわ」


「小鳥遊さん、俺みたいなおっさんが相手なんて、やっぱり無理があるよな」


俺は苦笑しながら小鳥遊さんに問いかける。


「…………いえ、初めて見たときは正直髪もボサボサで髭も生えてて、余り好感はもてませんでしたが…」

「でも、…今の雲雀さんはとても素敵だと思います…」


「そうかな?見た目はそれなりになったかもしれないけど、歳の差もあるし、すぐに子供なんて大丈夫?」


「……えっとですね、エミリー女王様、実際世界の危機として、あとどれくらいで勇者がいないとダメでしょうか…?」


そうだな、世界の危機のタイムリミットを知っておくのは大事だよな。


「そうですね、正確にここまでと言った時期は申し上げる事は難しいですが、今も魔族による侵攻が続いています」

「現状では各国の戦力でどうにか対抗出来ている状況ですが、後10~15年で魔王が復活する可能性が高くなっています」

「勇者と言っても生まれてすぐに魔王や魔族と戦える力があるわけではありませんので、おおよそ10歳程度には成長していただかないと対抗は難しいですわね」


「そうなると、実質猶予は無いって事になるよな?」


「ええ、大変申し訳ありませんが、我々に猶予は無い状況になっています」


「そうか…。小鳥遊さん?大丈夫?」


何だか色々と考えているように見える小鳥遊さんだが、急に少しだけ大きな声で


「…私、産みます。雲雀さんとの子供を産みます!」


「えっ?小鳥遊さん、急にどうしたの?」


「…私、今まで生きてきて、一度として人に必要とされたことはありませんでした…」


うん、結構悲しいエピソードだよね。


「でも、今この世界では私が子供を作ることで、世界が救われるんです…」

「今…私は世界に必要とされてるって事ですよね」


「はい、今この世界にとって小鳥遊様と雲雀様は救世主ですわ」


「…なので、私は雲雀さんとの子供を産みます!」


そう言って、顔を赤くしながらも、何か決意をした顔になった小鳥遊さんに


「でも、ホントにこんなおっさんでいいの?」


「…雲雀さんは素敵です。むしろ、こんな私みたいのが相手で雲雀さんに申し訳ないぐらいです…」


「いやいやいやいや。小鳥遊さんは物凄く可愛いから!」


「あうあうあう。…ありがとうごじゃいましゅ…」


小鳥遊さんは顔を赤くして下を向き、少し嚙みながらもお礼を言っていた。


「さて、では女王としてのご依頼になります。お二方には世界の為に子を産んでもらいます。住まいは王宮にて用意いたしますので、後で執事に案内させますわ」

「では、わたくしからは以上になりますので、どうか世界の為に宜しくお願いします」


エミリー女王は再度深く頭を下げていた。




その後、俺と小鳥遊さんは同じ部屋に通され、二人で住むことになった。

エミリー女王は別れ際

「そうですわ、未婚の男女が同じ部屋に寝泊まりは好ましくありませんので、わたくしが立ち合い人として、今お二人の婚姻を認めますわ」

「明日の朝には手続きも完了しますので、小鳥遊様は明日には雲雀様の性になりますわ」

「ですので、これからは大地様、空様と呼ばせていただきますわね」

と爆弾発言を残してさっていった。


そうして二人になった俺と小鳥遊さんは


「えっと小鳥遊さん、こんな俺ですが今後ともよろしくお願いします」


「…明日から私も雲雀になりますので、空と呼んで下さい、大地さん」

「あと、これからは夫婦になるので敬語も必要ありませんよ…」


「そうだね、空さん、これからよろしくね。空さんも敬語は無くて良いからね」


「…はい。大地さん、お願いしますです」


「じゃあ、とりあえず今日は何もせずに寝ようか?色々あって疲れたでしょ?」

「一日や二日で世界が滅ぶって事も無いだろうしさ」


「…いえ、大丈夫です!私頑張ります!」


そう言うと空さんは、身に着けていた服を脱いで下着姿になってベットに向かった。

そこまでしている空さんに、これ以上言う事も出来ないので、部屋の明りを消して、俺もベットに向かった。

空さんは、まあ色々な事情があり処女の為、「…お願いします」と言っていたが、28歳童貞の俺にお願いされてもなーと思いながらも口には出さずに、何とか頑張って最後まですることが出来た。


翌朝、腕枕で寝ていたはずの空さんはすでに起きていて、身支度を整えていた。


「空さん、おはよう」


「大地さん、おはようございます」


うん、今まで生きてきて、ずっと一人で生きてきたけど、起きたらそこに可愛い奥さんがいるって、最高すぎじゃない?


「あっ、そう言えば朝には空さんの性が変わってるって言ってたけど、ステータス見てみようか」


「そうですね。『ステータスオープン』『ステータ開示』」


====================

名前:雲雀 空(ひばり そら)

年齢:18歳

レベル:3/100

HP:3/100

MP:3/100

攻撃:3/100

防御:3/100

敏捷:3/100

運:100/100

子宝:999/999


ジョブ:村人(勇者の母)

セカンドジョブ:妊婦(双子)


ユニークスキル:勇者の遺伝子♀

勇者の遺伝子♂との子供は100%勇者となる

それ以外との子供は0.01%の確率で勇者となる

====================


「「え??」」


こうして、俺と空さんの間には、一夜にして二人の子供を授かる事となった。




「おはようございます、エミリー女王様」


「おはようございます、大地様、空様」


「エミリー女王様、ご報告がありますが、今お時間はよろしいでしょうか?」


「ええ、かまいませんよ」


「じゃあ、空さん、エミリー女王様にもステータスを見せてあげてくれるかな」


「はい」


そう言って、空さんは今朝の様にステータスを開示しエミリー女王に提示した。


「えっ?性が変わるのはわたくしが言った事なので良いのですが、一日で子を成したのですか?それも双子を?」

「と言うか、あの後お二人はすぐに…」


「あの、エミリー女王様、大丈夫ですか」


エミリー女王が顔を紅くして色々と考え事をしているので、空さんが心配になって声を掛けると


「あっ、はい、大丈夫ですよ。それより、昨日に比べてずいぶんと笑顔で、声も大きくなりましたわね、空様」


「はい、大地さんに優しくしてもらったり、エミリー女王様にもこの世界に必要とされてると言われたり、なんだか今までと違って、生きる意味があるんだなって思ったら、なんだか少し元気になれました」


「それは良かったですわ」

「でも、さっそく子を成しましたので、しばらくは安静にして下さいね」

「毎晩、元気にされますとお体に障りますので、ほどほどでお願いしますわ」


「あわあわ、そんな、毎晩だなんて…」


空さんは、エミリー女王の言葉に顔を赤くして口籠ってしまった。


「ところで、エミリー女王様、この世界では一般的にどのぐらいで子供は産まれるのでしょうか?」

「俺たちのいた世界では、おおよそ10カ月程度で子供が産まれるのですが」


「そうですね、この世界では一般的に2~10ヵ月で子供は産まれてきますよ」


「えーっと、2~10カ月とは、ずいぶん開きがありますね」


「簡単に申し上げれば、王族であればおおよそ2ヶ月、平民であれば10カ月程度ですわ」

「妊娠の進行を進める魔法があるのですが、その魔法の使い手自体が極わずかになりますので、王族貴族でなければ受ける事が出来ないのですわ」

「特に王族直属の魔法師は優秀で2ヶ月、貴族直属の魔法師はおおよそ5カ月前後と言った所ですわ」


「そんな魔法があるんですね」


「もちろん、空さんには最高位の魔法師を付けますので、2ヶ月は営みは我慢してくださいね」


「…はい、別に盛ってるわけではないので、大丈夫ですよ」


「あら、でも空さんは少し寂しそうですよ」


「あうあう。そんにゃことありましぇんよ…」


「空さん、俺は空さんの事を大切にしたいと思っているので、これからは一緒に寝ましょうね」


「あうー。はい、お願いしましゅ、大地しゃん…」


真っ赤になった顔を両手で隠しながら返事をする空さんの頭を撫でながら


「では、エミリー女王様、俺たちの子が生まれるまで、宜しくお願いします」


「ええ、任せてくださいな」




あっという間に2ヶ月の時は流れ、空は無事に双子の出産をすることが出来た。


「空、お疲れ。元気な男の子と女の子の双子だって」

「二人とも空に似て、物凄く可愛いよ」


「ありがとう、大地」

「毎日優しくしてくれた大地のおかげで、無事に産むことが出来たよ」


双子の兄:雲雀 焔(ひばり ほむら)

双子の妹:雲雀 雫(ひばり しずく)


俺と空は、双子を連れて、王宮にある鑑定室に向かった。

生まれたすぐの子は自分でステータスを開示出来ない代わりに、特殊な鑑定機を使う事で、簡易なステータス鑑定が出来るようだ。


鑑定室に着くと、まずは兄の焔から鑑定を行い、次に雫を鑑定する。


====================

名前:雲雀 焔(ひばり ほむら)

年齢:0歳

レベル:1/1000

ジョブ:剣の勇者

====================


====================

名前:雲雀 雫(ひばり しずく)

年齢:0歳

レベル:1/1000

ジョブ:回復の勇者

====================


「しっかりと二人とも勇者に生まれたな」


「そうね、二人とも勇者ね。でも世界に一人のジョブじゃなかったっけ?」


「お疲れ様です、空さん」


「「こんにちは、エミリー女王様」」


「勇者が生まれて、一先ず安心ですわ」


「エミリー女王様、勇者は世界に一人と言う話でしたが、現実として今、二人の子が勇者となっていますが、どういう事でしょうか?」


「そうですね、今までの勇者はジョブ:勇者となっていて、剣や回復の勇者と言った文献はありません」

「それに、大地様と空様のジョブ自体が初めての事になりますので、わたくし達としてもわかる事の方が少ないのですわ」

「それより、こうして生まれた双子が共に勇者という事は、次に出来る子も勇者となる可能性が非常に高いかと思われます」

「ですので、次のご予定はありますでしょうか?」


エミリー女王は目を輝かせて俺と空を見ていた。


「私としては、大地が良ければいつでも良いよ」


「俺も、空が良ければいつでも」


「ではお二人とも、さっそく今夜にでもハッスルしましょうか!」


「エミリー女王様、女王がそんな言葉使いしてもいいのですか?」


「はっ!失礼いたしました。では、お二人の次のお子様も期待していますわ」


「「はい、わかりました」」


そうしてエミリー女王と別れ、その晩は久しぶりで二度目の空との行為にいたった。

お互い2回目で、最初よりはスムーズに進み、翌日に空は再度身籠ったのだ。




「おはようございます、エミリー女王様」


「おはようございます、空様」

「それで、首尾の方はどうでしょうか?」


「はい、早速ですが、また双子を授かる事となりました」

「ですので、申し訳ありませんが、再度魔法師の方の手配をお願いいたします」


「やはり、さっそくですか。お任せ下さい、再度最高位の魔法師を手配いたしますわ」


「ありがとうございます」


「それにしても、また双子なんですね。どんな子が生まれるか楽しみですわ」


エミリー女王は鼻歌を歌いながら、魔法師手配の為にその場を離れたのだった。


「それにしても、こんなに簡単に子供が出来るなんて、やっぱり俺の子種、空の子宝のレベルに関係してるんだろうな」


「そうだね、それ以外にこんなに簡単に出来るなんてありえないもんね」




その後、エミリー女王が戻ってきて、国の上層部に苦言を言われたらしく、今後これ以上の子供を作るのは控えて欲しいとの事だ。

別に行為をするなという事ではないらしいが、生まれてくる子が全て勇者だった場合には、国家間のパワーバランスが崩れる恐れがある為との事だ。

そこで、エミリー女王から空に一つの魔法具が渡された。


「エミリー女王様、このネックレスは何でしょうか?」


「そちらは、体内異物除去の魔法具になりますわ」

「本来は体内に入って来た毒物を除去する為に作られた物になりますが、その…女性の体内に入った男性の…精…子も除去するので、このネックレスをして行為を行った際には子供が出来る事がありません」


「そんな魔法具があるんですね。この魔法具があれば、毒殺とかの心配も無いので、物凄く便利な物ですね」


「そうなりますわね。でも素材が凄く希少で、この国全体でも5つしかまだ作れていませんわ」

「素材さえあれば、作るのは簡単なのですけどね」


「そんな貴重なもの、私が頂いてしまってもよろしいのでしょうか?」


「これ以上、勇者が生まれた場合、戦争に発展する危険もあるので、上層部総意で空様にお渡しすることが決定しました」

「ただ、将来的なお願いにはなりますが、この魔法具の素材を勇者として育ったお子様たちに集めて頂ければと」

「その素材をお渡ししていただければ、大地様の分やお子様たちの分も、責任をもってわたくしがおつくりいたしますわ」


「えっ?エミリー女王様がお造りになられるのですか?」


「はい。こう見えてもわたくし、この国で最高位の魔法具師ですわ」

「先日使用した鑑定機も、わたくしが作ったものですわ」


「そうなんですね。では、私たちの子がしっかり成長したら、必要な素材の採取もお願いしてみますね」


「ありがとうございますなのですわ」


そう言って、エミリー女王は再度離れて行った。




月日は流れ2ヶ月が経ち、3人目と4人目の双子が生まれた。


双子の姉:雲雀 雪(ひばり ゆき)

ジョブ:知の勇者


双子の弟:雲雀 煉(ひばり れん)

ジョブ:魔法の勇者


下の双子も、無事に勇者として生まれる事が出来たようだ。

こうして、100発100中勇者が生まれるのは確定したので、空は今後ネックレス着用で行為をすることが義務付けられた。

毒物も除去してくれるので、俺としては空の安全にもなるので賛成だ。




その後4人の子供たちは順調に成長し、10歳になった頃には全員レベル700を超えていた。

ちなみに、平民クラスである俺と空は成長上限が100で、10年経った今でもレベル15だ。

勇者クラスが上限1000、平民クラスは上限100。

他にも普通職クラスが上限300、上級職クラスが上限400、最上級職クラスが上限500との事だ。

エミリー女王は最上級職クラスの魔法具師との事で、レベルは現在480と、実はとっても努力家だったようだ。

400レベルを超える魔法具師はエメラルド王国でも5人しかおらず、その中でもエミリー女王が最高位らしい。


レベ700を超えた4人の子は、それぞれが国家最高戦力として、一人で一つの国を相手に戦争が出来るほどの力がついてしまったようだ。

特に、剣の勇者:焔と魔法の勇者:煉は、一人で2~3国連合を相手に出来るほどに成長したようだ。


剣の勇者:焔は火炎剣を得意とし、聖剣に炎を纏わせあらゆる厄災を振り払い、またその燃えるような紅い髪に瞳から=炎の剣聖様=と呼ばれている。


魔法の勇者:煉はあらゆる魔法を会得し、本来100人規模で発動する究極魔法ですら一人で発動し、また女の子に見間違うほど中性的で美しい見た目から=美の大魔法師様=と呼ばれている。


知の勇者:雪は、世界のあらゆる知識を保有し見聞きしたものは二度と忘れる事無く、また美しくも凛々しい見た目から=凛の大賢者様=と呼ばれている。


回復の勇者:雫は、どんな怪我でも病でも、生きている限り必ず回復させることが出来、またその美しく儚い見た目から=愛の聖女様=と呼ばれている。




そうしてさらに2年の歳月が過ぎ、4人の勇者は全員レベル上限の1000へと到達した。

4人の勇者は一人で魔王と対峙出来るレベルまで成長していた。

今までの文献から、その辺の森にいる魔物のレベル上限が200程度、下位魔族が400程度、中位魔族で500程度、上位魔族で600程度、最上位魔族(四天王と呼ばれる魔族)が800程度、魔王はおおよそ1000との事だ。

中位の魔族までは最上級職クラスで何とか対抗出来るが上位以上の魔族に対しては、人類が一人で対抗するのは難しい。

戦闘職ではない雪と雫は、それでもレベルから来るステータスで、最上位魔族までは一人で対処が出来る。

焔と煉に関しては、魔王に対し1対1で対抗出来る実力となっていた。


レベルも上限まで到達した4人

焔はあらゆる人界の炎に加え、魔界・神界の炎も使いこなしていた。

煉は人が扱える魔法に加え、精霊術・呪術・神聖魔法と人外の術もマスターしていた。

雪は全ての知識に加え、その多くの情報から未来を見通すほどの魔眼を発現していた。

雫に関しては、禁術として使用を禁止されているが、死者蘇生術まで完成させていまった。


そんな4人の前に、魔王と四天王に多数の上位魔族が勢揃いしている。

魔王としても、勇者が4人もいるなど想定外で、戦力を分散せずに一気に畳みかけるつもりのようだ。


だが、煉の放つ究極大魔法により、上位魔族の99%は一撃の元に葬られ、魔王と四天王と少数の上位魔族のみとなってしまった。

その事は雪が事前に未来を見通し4人で共有しており、その後の行動も雪によって指示されていた。

残っている上位魔族は煉が討ち漏らすことなくすべて魔法で葬り、四天王に対しては焔が一人で相手をしていた。

いくらレベル1000の焔でも、レベル800程度を同時に4体相手にする為、相手の攻撃を受ける事もあるが、そこは瞬時に雫が回復し、戦闘で負った傷など最初から無かったようになっている。

そんなサポートもあり、焔は短時間で四天王を葬ることが出来たのだ。

最後に、魔王が一人になってしまい、自分の負けを悟ったのか、体内に大量の魔力を集中させ自爆を試みたのだったが、そこまで雪は未来を見ていた。

魔王が魔力を集中させようとするが、上手く魔力が集まらない事に気が付き勇者を見ると、雫が、魔王が集中させている魔力を吸収し、自分の魔力へと変換していたのだった。

そこに煉が術式を構築し、魔王に隷属の術を施した。

隷属の術には様々な術を重ね、魔王は勇者に絶対服従、人間には危害を加えない、レベル制限でレベルを100までダウン、称号維持(魔王)と施していた。

事前にエミリー女王に聞いていたが、本来は世界に勇者が一人と同じように魔王も一人しか生まれる事は無いらしい。

魔王を弱体化し、隷属させることで、今後の魔王誕生を皆無にすることが出来るのだ。

今までの勇者では、魔王を倒し封印することが限界だったが、4人の勇者の力をもって、魔王を人間の監視下に置くことに成功したのだ。

これで、人間は今後魔王による恐怖から解放されることになった。


「これで、魔王の恐怖から世界を開放出来たけど、これから僕たちはどうするの?」


煉が、兄と姉に問いかけ、長女の雫が答えた。


「そうね、私たちの力は、集中していれば今後脅威となり、今度は人間通しの戦争が起きるでしょうね」

「なので、それぞれが別々の国に行き、国家戦力のバランスを取るべきだわ」


「じゃあ、俺がエメラルド王国に残って、この国を守護するぜ!」


焔が真っ先にこの国に残る事を提案するが


「「「却下、少し黙ってて」」」


「ちょっ!お前ら揃って何でだよ!」


「バカにこの国を任せるとか無理。この国には父さんと母さんもいるんだから」


雪にバカと呼ばれ落ち込む焔は無視して


「この国に残るなら、雫姉さんが残るべきだわ」

「もし万が一の事があっても、雫姉さんなら何とかしてくれるし」


雪のそう言われ雫は


「そうね、最悪死者蘇生術もあるしね」


「「「それはダメ」」」


雫が死者蘇生術の話をすると、全員で却下していた。

死者蘇生術は術者の魂、つまり寿命を一部分け与える形で発動する。

なので、雫を大好きな3人は、雫が死者蘇生術を使うのを禁止している。


「まあ、お父様とお母様に万が一が無い限りは使わないから安心して」


「「「それなら…」」」


雫と同様に大好きな両親にもしもがあれば、それもやむなしと思いながらも、やっぱり雫も心配する3人で。


「じゃあ、結局俺はどこに行けばいいんだよ」


「焔兄さんはダイヤモンド王国に行けばいいよ。あそこの王女様、焔兄さんに一目惚れしてたし、歓迎されるんじゃない?」


煉にそう言われ、焔は少し考え


「サリー王女かあ…。あの人気が強くて少し苦手なんだよな…」


「気が強いぐらいが焔兄さんにはあってるよ。だって焔兄さんバカだし、止めてくれる人がいないと」


「バカって…」


弟にまで馬鹿と言われ、再度落ち込む焔は無視し


「じゃあ、私は学者の国、ルビー王国に行くわ」


「僕は魔法の国、サファイア王国に行くね」


ちなみに、政治の国エメラルド王国、剣士の国ダイヤモンド王国の4国家が世界4大国家となっている。

4人の勇者がそれぞれ、4大国家に行くことでパワーバランスも取れる事になる。

ちなみに遠距離通話や長距離転送などの魔法具はレベル500になったエミリー女王が作成しているので、各国に行っても話も簡単に出来るし、会う事も出来る。

長距離転移は大量の魔力を必要とする為、大量の魔力(魔法師約50人分)か膨大な費用(平民年収10年分程度で往復1回)が、勇者である4人の魔力であれば一人で賄えるため、割と簡単に長距離転移が可能だ。


そうして、魔王を隷属に成功したことをエミリー女王に報告し、また4人が別々の国の所属になる事を伝えた。

エミリー女王としても戦力が集中していることは好ましくなかったことと、勇者を各国に派遣することで恩を売ることも出来るので、4人の話に同意した。


ちなみに隷属した魔王に関しては両親の執事として、雑務件護衛をしてもらう事になった。

レベルは100だが、人間に危害を加える事は出来ないので両親は安全だし、魔王の称号はそのままなので、魔族や魔物に襲われる心配も激減だ。


そして、4人の子供たちが無傷(雫の回復で無傷という事になっている)で魔王を隷属に成功させたことに喜んだ両親は、テンションが上がってしまいペンダントを外して、夜な夜な営みをしてしまい、朝にそのことに気づいた二人はステータスを確認するが時すでに遅し


====================

名前:雲雀 空(ひばり そら)

年齢:30歳

レベル:20/100

HP:20/100

MP:20/100

攻撃:20/100

防御:20/100

敏捷:20/100

運:100/100

子宝:999/999


ジョブ:村人(勇者の母)

セカンドジョブ:妊婦(四つ子)


ユニークスキル:勇者の遺伝子♀

勇者の遺伝子♂との子供は100%勇者となる

それ以外との子供は0.01%の確率で勇者となる

====================


こうして、新たに4人の勇者が誕生することが決定してしまい、エミリー女王がまた頭を抱えていたが、それはまた別のお話。

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異世界短編集~ここ以外のどこか~ 灰被り姫 @sakuranbou

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