その闇を払うために二つの世界は交錯する

まるで海外の児童小説の翻訳を読んでいるような世界観の作品でした。

現代の孤児院から始まる物語、これがどう異世界と関わるのかと思っていれば、まるで主人公の太郎のように、もう一つのファンタジー世界へどんどん引き込まれて行きます。

だとしても、夢でもうひとつの世界を見ているだけでは根本的な解決にはなりません。
それでも、どんどん現実を侵食して行くもう一つの世界。
やがて世界は入れ替わるのですが……展開やテンポがとても軽くスムーズに入れ替わります。

二つの世界の住人たちが、入れ替わることで気付きを得る。
とても厳しく難しく、それでも登場人物たちの暖かな言葉が心を救う物語。

なんなら、小学校の図書館の蔵書の一冊として並んでいて、手に取って読んで欲しい物語だと思いました。