ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」を軽く吹っ飛ばすほどの、何とも言えないすさまじいパワーが感じられます。
幼馴染だったか何だったか、でも、一度失った信用は取り返しがつかない。
主人公の男女二人の動きが、さあ、これからどうなっていくのか。
彼女は、かつてのような関係はもう無理としても、それを上回る何かを、彼に、与えるだけの人間へと成長できるのだろうか?
読んでいて、私のいわゆる「高校時代」を思い出しました。
思うところあって、私はその頃、もともとの趣味の鉄道関連だけでなく、プロ野球関連の本を読み始めました。
そこで、プロはなかよしこよしや仲間ごっこの世界じゃないということ、そんな世界で生きて一流の域に達した人たちを知り、それを、人生の糧にするべく、さらに本を読んでいました。
~私が小説という形で表現していこうと考えたのも、当時の読書の経験があったからこそです。野村克也氏がプロ野球に入る前にテストを受けるにあたっての思考と行動を参考にして、そういう方向でやって行こうと考えました。
私の当時の周囲との関係というのは、この主人公の少年のような経験とはかなり違うが、似たようなものが、ありましたね。
そういう意味では、懐かしさもあります。
本作を拝読して、両者の視点に立ってモノを書くことの重要性を再認識いたしました。創作上においても、大きなヒントをいただきました。