魔術の仕組み
エディラドハルドでは、魔撃も治癒術も"魔術"として一括りで扱われており、それを操る者を魔術師と呼ぶ。
大陸の中に複数の魔術院があり、そこで然るべき修行を行い、試験を突破した者が称号を得られる。また、突出した能力が認められれば上級魔術師の称号を得ることができるが、その数は限定的であり、ゆえに上級魔術師の称号があれば、将来の道も保証される。
魔撃と治癒術は力の導き方が根本的に違うので、それぞれ得手不得手がある者が少なくない。
治癒術は、被術者の生命源の見極めと自身の魔力のバランスを取ることが難しく、また、魔物が増えている昨今では魔撃の方が重宝される風潮もあり、魔撃に比べると満足に扱える者は少ない。
魔撃は、自然界に漂う地水火風の属性の粒子を集めて命令を下すことで発動する。
基本は唱文を伴うが、上級者は念じるだけで発動することが可能である。大技を繰り出す際にはさらに紋を切る。片手よりは両手で切る方が威力が増す。ただしこの紋には細かな指示を瞬時に指で描く技能が必要なため、それを編むためにもかなりの修練が必要とされる。無論、大技になるほどに魔力の消費も大きくなるので、基盤となる魔力を増強する修練が欠かせない。
治癒術は、被術者に有している生命源という波動を読み取り、その残値に合わせて自身の魔力との兼ね合いを見極めて施す。これを見誤ると双方に危険が及ぶこともあるため、慎重な判断を要する。相手の生命源が少ないと、施せる治癒術にも制限がかかるため、術師の魔力が潤沢であっても思う様な成果が得られない結果となる。このバランスについてはいまだ謎の多い分野でもあるが、需要が魔撃に傾いていることでなかなか解明が進んでいないという側面がある。
また、自らの肉体からの魔力を放出するのではなく、武器(主に剣)を介して魔撃を繰り出す"魔術剣士"の称号を持つ者もいる。
彼らは、武器に取り付けた天然石や鉱物などの自然素材に各属性の粒子を走らせて発動させる。魔術剣士は魔術の知識と、剣技などの武器を扱う能力を必要とするため、非常に繊細なバランス感覚を求められる。剣士や魔術師に比べると称号保持者はそう多くはないものの、接近戦から中距離戦まで臨機応変な戦闘が可能な、頼もしい存在でもある。
風は遠き地に 香月 優希 @YukiKazuki
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