竜の加護の伝説と受け継がれた力

 遥か昔、竜の住処から黒い竜がやって来た。お腹を空かせていた竜は人を喰らい、その味を覚えてしまった為、多くの人間が襲われ、大陸が混乱に陥った。

 その時、黒い竜の所業を止めるべく、蒼い竜がやって来て、壮絶な戦いの後、黒い竜を葬り去った。

 蒼い竜は、二度と大地が荒らされることがないよう、共に戦った神官らに自らの鱗を結晶化した"蒼き石シエド・アズール"と、力の一部を授けて、の地へと帰って行った。

 

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 黒い竜の身体はドラガーナ山脈竜の背の地底深くに沈み封じられていると言われており、山脈に眠る"淵黒えんこくの竜"として、禁忌的な意味合いを含まれながらも語り継がれている。

 この"淵黒の竜"には、黄泉の国へ渡った魂と繋がり、それを甦らせることが出来るというまことしやかな噂があった。

 若くして許嫁を亡くした"羅沙ラージャやしろ"の頭領・レキは、失意の中でこの噂にすがり、周囲の反対を押し切って元から信仰している山の神と並行して淵黒の竜への信仰を取り入れ、やがて大きく傾倒していく。


 一方の蒼い竜もやはり、"蒼空そうくうの竜"として語り継がれている。大陸南部にあるイリユスの神殿は代々、"竜の加護"という特殊な力を持つ者がその当主を務め、大陸の安全の要となっている。


 イリユスの神殿には、"蒼き石シエド・アズール"という石の結晶体が祀られており、竜の加護の継承者は、その身に宿す力でこの石と定期的に共鳴を図ることで、大陸の魔の気を然るべき領域内に収め、大陸の安全の均衡を保つ役割を担っている。

 継承者には、一定以上の肉体回復能力があり、一般のヒトと比べて傷などの治りもいささか早い。

 また、魔物を動かす核=魔石の所在を見抜く能力があり、自身の力を高めることで、限度はあるものの核に向かっての強大な一撃を放つことが可能となる。

 "竜の加護"の継承者は、必ずしも血縁で続くわけではないが、ここしばらくは血縁関係が続いていた。時期が来ると"竜の啓示"で示されるそうだが、その詳細については神殿の上層部の者しか知らない。

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