報告
セウドニンに因り実演された洗脳方法を見たフロレスク伯爵の子飼いの密偵の長は、これの結果を目の当たりにしてその有用性を考える。
密偵という都合上、情報の秘匿性を重要視する為、派遣した人員が捉えられ情報が漏洩する危険性が常に付き纏う。
今回、セウドニンが行った洗脳方法を駆使すれば、全ての記憶を無くす代わりに、都合の良い状態の記憶を持った個人を完成させる事が出来る。
密偵の長は、セウドニンに余人でも扱えるようにこの技術を体系化するように頼んだ。
それと同時に、彼等密偵が住まうフラ村の隠された部分。
表向きの普通の農村では無く、密偵と役を全うする為の場所へも案内した。
そこは村の地下に存在する空間だ。
魔法と言われる存在があるこの世界とはいえ、科学技術の水準は中世後期頃から近世に足が掛かる程度。
逆に言えば、魔法がある状態でそのレベル程度の文明。
一部の能力が非常に高い魔法使いを除けば、工業化が行われるだけの知識が蓄えられ、いざこれから産業革命が起こるか否かレベルの時代。
地下に空間を用意するにはそれ相応の難しさがある。
大地に干渉する魔法使い自体は、フラ村に居るには居るのだが、逸脱した能力を持っている訳では無かった。
だが、セウドニンは優れた魔法使いであった。
如何に、最近この場所に送られたとは言え、経験こそ無いが知識に関しては問題なく保持していた。
寧ろ、セウドニンはこの機会に色々と試しを行ったのだ。
その結果、フラ村の地下空間はそれまでの物と比較するのも莫迦らしくなる水準へと到達した。
という報告を自らの子飼いの密偵を取り纏めている長から口頭で報告を受けたフロレスク伯爵は、執務室に設えられている椅子に深く重く体重を掛け思索に耽る。
下手に都市に来させずにこのままフラ村で隠れながら色々と研究開発等を行わせた方が良いのではないかと。
このままフラ村で距離を保ちある程度好きなように活動させるべきか、それとも都市に招き自分の監視下に置き方向性を示せる環境に置くべきか?
伯爵は考える。
リスク、リターンがどういった物になるのかを。
惑星を開拓する。~圧倒的な技術でファンタジーな文化をもつ種族が発展している惑星を好き放題にする~ Uzin @Uzin
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