第5話 ギルドの役目


 ギルドは、大陸全ての国に存在する。


 大ツ・バール帝国が、最後にギルド支部の設立を認めたことで、大陸のすべての国にギルドが存在することになった。


 ギルドは、転移者の保護を行う。


 そして、その転移者の中には、断片的な記憶から新たな技術や知識から、様々な発明がなされている。


 発明は、物のようなものだけでなく、様々なシステムもギルドから派生していることが多い。


 特に、銀行のシステムについては、各個人の資産の保護には、大変、有効な手段となった。


 冒険者とならない一般人でも、ギルドに所属することは可能となる。


 それは、Gランクが、それにあたる。


 魔物を倒すための冒険者の為に、AからFランクの冒険者として登録される。


 それ以外に、魔物と対峙しないが、公共設備の清掃業務、探し物の依頼、薬草採取など、比較的危険度の無い依頼を斡旋する業務内容となっている。


 そのため、日雇仕事のようなものが多いので、どちらかというと、日銭を稼ぐ人がほとんどだった。


 そんな中には、その日住む場所にも困る人もおり、その彼らが、寝込みを襲われ、稼いだ金を盗まれるなんてこともあり、稼いでも金を盗まれてしまうのでは、必要以上に稼いでも仕方がないとなり、労働意欲の低下につながるとなり、その最下層の人々の資産保護も兼ねて、必要以上のお金を預ける場所としてギルドが引き受けたのだ。


 預金業務をギルドが引き受けるようになった。


 泊まる場所に困る人々は、稼いだ金の余った分をギルドが預かり、必要に応じて引き出すことができるようにした。


 その日、食べる事にも困った人民は、ギルドにGランクとして登録して、日銭を稼ぎ、その日必要な金額だけを引き出して、残りをギルドに預ける。


 少しずつ貯めていったお金で、中には、馬車を買って、行商を行う者も出てきた。


 最低生活者の保護もだが、その自立にもギルドは、手伝うようにしていた。




 また、その預金のシステムに目をつけたのは、そんな最低生活者以外にも、行商を生業とする商人も利用するようになった。


 そんな国を跨いだ行商を行う商人にとっては、ギルドに稼いだ金で、仕入れを済まして残った金額をギルドに預ける。


 そんな方法を取る行商人もギルドにGランクで登録して、その預金のシステムを使う者が出てきた。


 そんな事もあり、ギルドには、かなりの金が貯まるようになると、そのお金から貸し付ける業務を始める。


 事業内容に応じて、貸し付け、利息を付けて返済してもらうようにした。


 それも、ギルドには、ギルド間でのリアルタイムでの通信が行えるようになっている事で、入出金の確認も問題なく行うことができた。


 中には、不正を行おうと、あの手この手で、詐欺を働こうという人も居たが、その都度、ギルドのシステムでの確認によって、撃退されていた。


 そのため、ギルドの銀行システムについての信用が上がり、不必要なお金は、ギルドに預けるようになっていた。


 ギルドは、冒険者への依頼の斡旋、魔物のコアの買取、召喚魔法による魔物の労働力の提供だけだったのだが、そこから、波及した銀行業務により、さらに拡大していった。


 大量の資金がギルドに集まるようになったことで、各国の施政者からはギルドが自分達と取って代わる可能性を感じたようだが、その頃には、ギルドの冒険者を軍事力と考えると、大きな力となるのだが、ギルドは、交渉力を駆使して、各国の施政者と平和的な関係を求めるように動いていた。


 大きな勢力となったギルドなのだが、ギルドのおかげで、治安が改善し、最低生活者たちの保護も行えていることで、国の施政者側もギルドを利用するメリットの方が大きいと納得するようになった。


 中には、ギルドから借入をする国も増えており、中には、返済不能になった国もあるが、その際には、ギルドから、人が派遣されて、国の運営を助けて、返済可能になるように行った国もある。


 そのため、国の運営にもギルドが大きく貢献している。


 それも、ギルドが、訪れた転移者の断片的な記憶と、それを研究して活用する人材のシステムを作り出していた。


 そのシステムを作り出したのが、ギルドの創設者であるジュールクエーム・ヲジス・ジェネワルの思想により、それを代々のギルドの総支配人に引き継がれているのだ。


 通常であれば、800年もの間、初代の思想が引き継がれることは考えにくいのだが、ギルドにおいては、そのような事はなく、代々引き継がれている。


 理想的な組織なのだが、ただ、そんな理想的な組織として800年も続いいている事には、疑問に思う人達もいるが、その秘密に触れたものは誰も居ない。




 ただ、ギルドの誕生によって、戦争の数は圧倒的に少なくなった。


 国境を超えての戦争が起こったのは、ツ・バール国の建国後、北の王国の勢力が弱まった時、ツ・バール国でできた広大な穀倉地帯と、南北を繋ぐ街道警備によって、魔物の脅威を排除したことでの西側の国々が、北の王国と南の王国を、ツ・バール国を通り、最短で結ぶ事になり、交易路としての関税の低下により、その利益を巡って起こったが、それが最後の戦争となった。


 ギルドがもたらす情報によって、各国の状況も把握しやすくなることで、各国の情報交換も早くなり、交渉も容易になったことが、国家間の安定を生んだ。


 その間には、表となり、裏となってギルドが、関与して、国家間の争いを収めていたのだ。


 ギルドは、国家間の争い、国家の抱える問題を解決させる為に、様々な、行動をとっている。


 ただ、善政を敷く権力者が、何世代も続くギルドには、人々の知らない何かが隠されている。

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ギルド  パワードスーツ ガイファント設定 〜組織の誕生と成長〜 逢明日いずな @meet_tomorrow

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