第4話 ギルドとランク


 ギルドは、冒険者への依頼の斡旋と、魔物のコアの買取が、主な仕事になっているが、それ以外にも転移者の保護を積極的に行っている。


 転移者は、南の王国の領土の中に、西の砂漠があるのだが、そこに転移者が現れる。


 ただし、転移者が現れるのは、不定期で、転移者が現れたと思ったら、次に現れるまでに10年以上かかったり、または、翌日に現れたりと、全く不定期に起こる。


 転移者が現れる時、必ず、サソリの魔物も現れるので、そのサソリの魔物に殺されて、捕食されてしまうこともある。


 そのため、転移者が現れても保護されることの方が、珍しいのかもしれないが、そう頻繁に現れることは無かった。


 ただ、例外的にジューネスティーンが現れた翌日に、シュレイノリアが現れていたが、ギルドが設立されてから、約800年が経つのだが、2日続けて転移者が現れた記録は無い。




 ギルドは、大陸の各国に支部を置いている。


 ギルドの支部は、1国1支部なのだが、南の王国には、ギルド本部と、王都にギルド支部があるのだが、さらに、西の砂漠近くの、始まりの村にも支部が設置されている。


 ギルドの設立が、南の王国からだったことで、ギルド本部が設置されているのは、理解できるが、どの国でも支部はひとつで、それ以外は、支所か出張所となっている。


 しかし、南の王国には、冒険者の保護のためと、王国との政治的な取引もあり、支部が2つとなっている。




 特に、始まりの村のギルド支部については、転移者の保護を積極的に行うために、周辺の冒険者に見つけられやすく、なおかつ、転移者を奴隷に売られないようにと考えられ、生きたまま、転移者を連れていけば、高額な報酬を受けることができる。


 しかし、時々、不正を働く輩が、適当な子供を連れてきて、転移者だと偽って、申請するのだが、必ず、転移者でないと見破られてしまう。


 その始まりの村のギルド支部には、転移者とそれ以外を見分ける魔道具が存在すると囁かれているのだった。




 ギルドは、ギルドだけが知っている魔物の召喚によって、魔物の労働力の提供することで、魔物のコアを活用して売り上げを得ている。


 慈善事業ではなく、会社のような、利益を追求する営利団体である。


 魔物のコアによる召喚術により、魔物を使役すると、その魔物は、人の言う事を全て聞いてくれるようになる。


 召喚された魔物は、単純な、馬車を引くだけだったり、畑を耕すための労働力だったりするが、それ以外にも、収穫を手伝う召喚された魔物も存在する。


 時には、家や建物の建設、道路の建設などにも、召喚された魔物を利用されているので、魔物のコアを有効活用している。


 そのため、ギルドが存在できて、冒険者という職業が成り立っているのだ。




 魔物は、大陸全土に存在しているので、冒険者は、大陸の、どの国にも存在している。


 そしてギルドは、その冒険者の取りまとめの役目を行う事となったが、設立当初は、その国の行政府から出る依頼の横流しのように思われていたが、魔物のコアの買取も行ってもらえることで、冒険者の収入が増えると、その話が噂となって流れると、冒険者は、ギルドに所属するようになった。


 行政府からの依頼料も魅力的ではあるが、今までは、観賞用に販売する程度にしか利用価値の無かった魔物のコアなので、販売価格も捨て値程度にしかならなかったが、ギルドが高額で買い取ってくれることで、冒険者は、その金額目当てで、ギルドに登録して魔物のコアを、ギルドに販売するようになった。




 ギルド設立当初は、ギルドも行政府から依頼の出る魔物の討伐は、そのまま、冒険者に出すようにしていたのだが、冒険者と魔物のレベルの違いから、死傷者が出てしまうようになり、ギルドは冒険者の保護のため、ギルドに所属する冒険者にランクを与える事にした。


 そして、魔物もランク付けするようにして、自分達の安全度を測る目安とさせたのだ。


 冒険者のランクは、S、A、B、C、D、E、F、Gの、8ランクだが、Gランクは、冒険者として魔物を倒さない人限定の登録となっている。


 街の清掃、公共施設の修理など、魔物と無縁の依頼だけを行う人たちのために用意されている。


 魔物と戦闘中に、負傷を負って、戦闘に参加できなくなった冒険者や、仕事に就けない人たちのために、行政府や、個人からの依頼を回しているのだ。


 また、魔物についても、S〜Fまでのランク分けをして、自分のギルドランクと、魔物のランクを比較して、自分達の手におえる魔物かどうかの判断材料にしている。




 ギルドの示す冒険者のランクにおいて、Fランク以上には、各ランクの中に3段階に分かれており、F1、F2、F3と、ランク内でも、それぞれの違いがある。


 冒険者登録して、最初に与えられるのは、F3ランクとなり、依頼をこなしたり、魔物のコアを売ることで、F2、F1と上がっていく。


 F1ランクに上がると、Eランクに上がる試験を受ける権利を有する事となるので、決まった日にギルドの試験を受けて、合格すると、E3ランクを与えられる。


 その後も同様に依頼と、魔物のコアを売ることで、ランク内の数字は上がるが、アルファベットの数字は、試験によって合否判定されるので、他人から購入した魔物のコアを、ギルドに販売してF1に上がったとしても、実力が無ければ、E3ランクには上がれない。


 また、各ギルド支部には、冒険者のための教育機関があり、そこで、半年間訓練を受けて、卒業試験に合格した者には、E3ランクを与えられるというシステムもある。


 ギルドに所属だけして、魔物のコアを売るだけでも可能なのだが、不用意にランクの高い魔物と遭遇して命を落とす冒険者も居るので、ギルド側は、冒険者の実力を付けさせ、生存率を確保することも心がけているのだ。

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