第3話 ギルドと大ツ・バール帝国
大ツ・バール帝国とギルドとの関係は、悪くは無いが、良くもない。
大ツ・バール帝国は、建国から360年を経て、ギルドの帝国支部設立を認めた。
ギルドのツ・バール支部は創立して4年目となる。
現在では、国名が大ツ・バール帝国となっているが、建国時の国名は、ツ・バール国だった。
それを、第20代国王ツ・エイデル・リョウリンが、国名を変更して、国王を皇帝に変更した。
その変更によって、大ツ・バール帝国 第20代皇帝ツ・エイデル・リョウリンとなる。
それには、ツ・エイデル・リョウリンの父親である、第11代宰相であるツワ・リンデル・リョウクンの思惑によるものであって、国王の血統であるツ家、代々、宰相家となるツワ家、そして、血統を受け継ぐ大公家のツネ家とツヤ家があり、代々受け継がれてきたのだが、第11代宰相であるツワ・リンデル・リョウクンの血族が全ての家を乗っ取る事で始まった。
そして、現在の第21代皇帝であるツ・リンクン・エイクオンによって、それは、密かに国外にも向けられている。
近年になってやっと出来たギルドの支部だが、それまでは、帝国の資金源の一つだった街道警備をギルドに持っていかれると考えたため、初代のツ・バール国国王であったツ・エイワン・クインクオンがギルドの支部の設立を拒否したので、その後の国王達も初代国王に倣ってギルド支部の設立を拒んできた。
帝国の設立は、東の森の魔物から隊商を守る人達が設立したため、ギルドと帝国の仕事の内容が被ってしまうことから、建国当時からギルド帝国支部の設立を、帝国が拒絶していたのだが、ジェスティエンの出現で武器技術バランスがギルドに大きく傾いた事で、帝国でもギルドと友好を深める事になった。
また、東の森の魔物の活性化によって東の森の魔物から守る為の軍の増強に掛かる費用が大きくなってきた事で、冒険者の戦力を利用する事で帝国の軍事費の削減を狙った。
他国との戦力バランス、特に戦力を東の森の魔物が活発化した事で東の森に集中せざるを得ない状況になり、国内の他の場所で発生する弱い魔物の処理にも苦慮し始める。
警備用の軍隊への募集を国内に行った場合の費用や経済に及ぼす影響を考慮すると、これ以上の軍隊の増加は、国の経済に大きな影響を及ぼすと判断されたのだ。
不足する東の森の警備隊に国境警備を割くことも検討されたが、内陸国家の帝国は接する国も多く、他国との軍事バランスを考えると、ギルドに依頼を行った方が経済的と判断し帝国内にギルド支部の設立を近年許可した。
また、ギルド所属の冒険者の引抜き、特にジェスティエンの持つ銃に関する情報を得て軍事力強化を密かに狙っている。
その為には、帝国内にギルド支部を創設させて情報収集や各国に居る冒険者の活動拠点を帝国に移させた方が良いと判断したのだろう。
一方、ギルド側は東の森の先に興味があり帝国に支部を設ける事で東の森への足掛かりとしたいという思惑があった。
ギルド発祥の南の王国は、帝国の建国より古く、帝国の建国は、東の森が発生した後となる。
その為、南の王国には帝国建国前の古い文献多く存在し、その内容から東の森の先に人の住む国が存在して交易も有ったのだが、東の森付近に現れた魔物の渦から出てくる魔物が強力すぎる事で、交易が止まってしまった。
人の行き来がなくなると、その辺りは、広大な森林となってしまって、現在では、東の森と呼ばれている。
なぜ、その様な強力な魔物を発生させる渦があ現れたのかは解明されてない。
東への移動が強力な魔物渦の出現で絶たれた事で、人が近寄らなくなり森が更にひろがり、完全に大陸東部への移動が絶たれてしまった。
しかし、その時に流通していた物がわずかに南の王国に保管されていた事で、東の森の更に東には、今の世界に無いものがあると伝えられている。
それは、帝国が出来る以前の話である。
今から364年前に帝国の始祖ツ・エイワン・クインクオンが東の森の西に国を築く事になったのは、東の森の魔物の影響によって、北の王国と南の王国を結ぶ東街道が使えなくなってしまった事が、事の始まりとなる。
南の王国と北の王国への街道が、東の森からの魔物によって大きな被害が有るので、街道は使われなくなり廃れてしまっていたが、北の王国が南の王国からの輸入に、東街道を使えない事で、西にある別の街道を使う事になるが、その街道は、数カ所の国を抜けて来るため、関所を通るたびに支払う税金に悩まされていた。
そんな時に北の王国に現れた、ツ・エイワン・クインクオン(当時は、別の名前を名乗っていたと言われている。 ) が、東街道の復活させ南の王国との交易ルートを確保した。
それが帝国の発祥につながって行く。
その為、ギルドの魔物討伐と街道の安全のための魔物討伐という仕事が被ってしまうので、帝国建国当時からギルドの設立には難色を示していた。
それが、近年の東の森の魔物の活性化によって帝国もギルド支部の設立を容認した表の理由なのだ。
ギルドと南の王国は、ジェスティエンが現れた時に東の森の先、大陸の東側の調査を検討したが、帝国にギルド支部が無かったことで南の王国もギルドも断念した。
しかし、ジェスティエンがこの世界に現れた事と、東の森の魔物の活性化によって、ギルドの帝国支部の話が進んだ。
帝国側は、ジェスティエンの帝国への取込みと、帝国内での魔物対策に掛かる費用の削減と、亜人奴隷の不足による農奴不足の解消の為にギルドの帝国支部を作らせた。
その時、ギルド内部で東の森の突破をジェスティエンに依頼をしようかと検討した時期も有ったが、ジェスティエンでは森の中で、ゲリラ的に魔物に襲われた際、通常の防具しか持ってない事で危険に晒される恐れがあると判断された。
ジェスティエンを失うことと銃の機密が帝国に漏れる事を恐れたギルドが東の森の探索を断念した。
その後も東の森の調査を検討したのだが、ギルド帝国支部の設立時に東の森への進入については帝国の許可が必要となったため検討は進めたのだが、その依頼をこなせる人材が居ないという事で断念していた。
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