まっさらに近づけた夜

　夜中に突然起きた地震。そんなさなか、ふと夜空を見上げた主人公は天からの落下物を追うことになる。着いた先は武蔵野八幡宮。そこで起きた出来事は夢か幻か。彼の生き方を変えることになる何げないきっかけは、白髪の女性からもらった塩むすびだった。

人類の脅威は自然災害やコロナのようは未知のウィルスもあるだろう。しかし、私が脅威と感じるものの一つに、現代人のものの捉え方、感じ方、さらには生き方が挙げられる。もう少しシンプルにはいけないものだろうか。カルビおにぎりももちろん美味しい。しかし、塩むすびの美味しさも分かる人間でありたい。自分たちの物で溢れかえる生活、これも豊かであろう。しかし、四葉のクローバーを見つけて喜んだあの頃のように、飾り気のないものでも幸せを感じ取れる心を取り戻したい。
　そんな願いを込めてこの作品を書きあげました。