魔石4個 エスケープ・エンド②
あたしはストーンテイカーであってストーンマスター。しかしてその実態は――。
それは、この大都市の旅の中で判明することになるわ。
その曳き鳥御者の曳くキャビネットに乗せられたあたし、ラキル・マノアーグは、その旅の終着点を目を闊歩じて確認したわ。
何せよ奇妙な雰囲気ただよう洋館風の豪華宿舎なので、これはこれで何を企んでるか判ったわ。
「ここまで乗せてくれてありがとね~。ヨイッショっと」
「ん? 誰かと思えば、お婆さん誰よあんた?」
「あのムスメさんのかけた探偵魔法術で、変り身のスキルで若返ったのよね〜。オホホ」
「何だ……と……。こんなことするとはラキルって何奴なんだ⁉」
ふふふ。あたしは、もう洋館風な豪華宿舎の中に先回りして待機してたんだよ。こんなカマかけは何度もしたわ。探偵がよくやるパターンなんだから。
「はぁい、クロゥ。あなたがここに来るパターンを読ませてもらったわ。こんな豪華宿舎であたしと何がしたかったのかな?」
「誰がキミ……いや、お前なんかと。そうか、ついに俺っちが誰かつきとめたか」
「自分から借金取りか追われ身とか出会って間もなく言うから調べたのよ。この魔石を使ってね。何でもお見通しよ。あなたがあたしを待たせてる合間にクロゥというコードネームの魔力不法利用審議委員会の回し者だと調べ上げて、そこのキャビネット売りの荷台に飛行魔法かけて、先回りを実行したのよ」
「そんな……探偵行為とは、こんなはずではなかったのに……」
あたしが指でスナップかけたら、魔鳥の大群が現れ、クロゥの身体を包み込んで当て所ない果ての先まで送り届けた。
「ハァ〜。一時はどうなることやら……だったわ。こんなトリックかけなかったら、万事休す。いや、あたしの貞操が守れなかったと思うわ。ホント、ドキドキしたぁ〜」
また違う場所で、それもあたしの不在の場所でこんなやり取りが始められたわ。
魔力不法利用審議委員会の上層幹部の更に上に立つ高等部会【魔導忠鋭衆】。
それが、クロゥの失態を速報で知り尽くしては、忠鋭下等義衛と呼ぶ忍びらしき影なる存在を放ち、あたしの後を追わせる手配がなされたらしいわ。
こんな闇討ちのカラクリを知らないあたしの運命は如何に⁉
場所は魔力不法利用審議委員会の庁舎構内に舞台は変わるわ。
中層邸宅が並ぶ敷地内で、忠鋭衆よりも低等の地位に位置する標準魔法輪舞会……ノーマルロンドサービスが、組織内紛を企んでいるって、いったいなんなの? 仲間割れの構図じゃない? そんなこんなでよく委員会組織が成り立ってるとはね。
「なんでも上層が解き放ったクロゥが退却したと速達で報せが入ったそうな」
「いつから委員会は戦闘組織になった?」
「ノーマルロンドサービスが存在する限り、上の幹部に好き勝手させないわよ」
「魔導忠鋭衆なんて戦闘達人軍団だろ? 野放ししたら厄介な連中だ。俺なら、奴らは畳んでやらァ」
何やらいろんな数の中層邸宅に集まった影の者たちが、忠鋭衆を解散……いや、消滅させようと計画立ててるようだわ。
あたし、ラキルのいない影サイドでこんなおぞましきことが展開してたなんて、これからあたしはどうなるんだろう?
なんだか怖くなってきちゃったな。
探偵魔石メアリウド @mstk147abc
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