8話 ボス攻略戦


「入るよ」

「はい」


 ボスの間の前には扉がある。

 その扉を開けると中にダンジョンボスがいる。

 俺は戦闘に備えて拡張バックから、剣と盾を出した。


「ぐぉぉぉ!」

「うわっ」


 中へ入るとすぐにダンジョンボスである石獣は俺たちに向け咆哮を放ち、ユイカさんは驚いて尻餅をついてしまった。

 石獣は体長は約3メートルの四足歩行の化け物であり、動きは結構遅い。

 さぁて半年ぶりの石獣狩りといきますか!

 

「来るぞ!ユイカさんはとりあえずどこかに隠れて置いて、ケルベロスはユイカさんの護衛を頼む」

「了解です!」

「わん!」


 石獣の皮膚は硬い、俺の持つ剣ではまず弾かれる。

 そんなわけでまずはこれを使う。

 俺はバックから小さな小瓶を出した、中身は特殊な溶液である。

 これをかけることによって石獣の皮膚を軟化させる事ができる。

 小瓶は5個ある、これを切りたい箇所に投げつけ命中したら切っていくを繰り返す。


「おりゃ」

『バリン』


 一発目は前足に見事に命中した。


「よし!」

「タツベイさんナイスです!」


 岩影隠れてるユイカさんは飛んで喜んでいた。

 ユイカさんは喜んでくれるのは嬉しいけど隠れててくれ。


「おりゃあ!」

「うがっ」


 液がかかり柔くなったところをすかさず俺は持っていた剣で切り裂いた。

 この調子で足からダメージを与えていき、最終的に頭を両断することで石獣は倒す事ができる。

 ユイカさんも見てるし頑張るぞ。


「はぁはぁ、よし次で終わりだ」

「ぐぉぉ」


 対峙すること約30分、俺は石獣の全ての足にダメージを与えた、あとは頭を両断しておしまいである。


「せい!」

『バリン』


 よし頭に溶液も命中したしこれで決着だな、ていうかさっきからユイカさんの姿が見えないな。

 まぁきっと大丈夫だろ。


「これで終わりだ!」

『バツン』


 俺は流れで一気に頭を切断した。

 ふぅ、終わったぁ。

 なんかいつもよりも手際が良かった気がする、やっぱり見てくれる人がいるとモチベーションが上がるなぁ。

 

「ユイカさん!やりましたー」


 ダンジョンボスを倒した俺はユイカさんのいる岩場へ向かった。


「ゆ、ユイカさん?」

「……」


 岩場へ着くとユイカさんが倒れていた。


「な、なんで!?ちゃんとローブもきてたのにそんな……」

「う、うう」

「ユイカさん!」

「すみません、血を見て気分が悪くなってしまいました」

「はぁ、良かった」


 ユイカさんはどうやら血を見て意識が飛んでいただけのようだった。


「私……沢山の血を見るとダメなんですよね」

「そうだったんですね、なら言ってくれれば良かったのに」

「いえ、せっかく私のためを思ってのことだったので参加して良かったと思っています」

「ユイカさん……」


 若いのにユイカさんは芯の強い人だ、だがやはりそうなると尚更気になる、血を見るのが苦手な女の子がなぜ一人でダンジョンへ来たんだ?

 訳ありなのはわかるが、家に帰ったら失礼を覚悟して聞いてみるか。




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おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略 神崎あら @takemitsu

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