7話 ダンジョンボス

 ダンジョンの最深部にはダンジョンボスと呼ばれる怪物がいる。

 ダンジョンボスはそのダンジョンを護るため生み出されたもので、倒しても時間が経つと復活する仕組みになっている。

 前回倒したのは半年前だからおそらく復活していると思われる。

 別に倒さなくてはいけないものではないが、ダンジョンボスの素材は武具などへの転用性に優れているため結構高値で取引される。

 まぁ、いつも倒してるし今回も倒してから帰るとするか。


「あ、タツベイさんおはようございます!」

「おはよユイカさん、あとケルベロスも」


 朝起きるとユイカさんとケルベロスが部屋の中で遊んでいた。

 しっかしユイカさんは本当にケルベロスが好きだなぁ。


「今日は何するんですか?」

「今日はダンジョンボスを倒しに行こうかなって思ってるかなぁ」

「だ、ダンジョンボスですか……それは本当に倒さなくてはいけないものなのでしょうか?」

「倒す必要はないけど、まぁついでだし」

「そうですか……私はここにお留守番とかできたりします?」

「できるけど、今後のためにもダンジョンボスを見ておくのもありだと思うよ」

「う、うーん」


 俺がそう言うとユイカさんは苦しそうな声を出した。

 ダンジョンボスは一級でも、二級でも、三級でもどこにでもいる。

 強さはそれりゃ、上のダンジョンにいけばい

くほど強くはなるけど、基本的にどのダンジョンでも強い。

 今回は俺もいるし戦っておいて損はないし、危険も大してないと思う……けど。


「ま、無理しても仕方ないからここにお留守番でも全然大丈夫だけどね」

「い、行きます!でも条件があります」

「え、行くの?ていうか条件って?」

「わんちゃん……ケルベロスも連れて行く事です!」


 あー、ケルベロスか。

 いれば役に立つし、居なくても別に困らない。

 まぁ別に連れっててもいいかぁ。


「うんいいよ」

「ありがとうございます!」


 そうして俺達はケルベロスを連れて、この3級ダンジョンのボス攻略へと向かった。



「お疲れ様、ここが最深部の第五層だよ」

「こ、ここが……」


 隠れ家を出て約2時間、俺とユイカさんはダンジョン最深部である、第五層に到達した。


「まぁ俺はもうここに何回も来てるから感動とか無いけど、やっぱり綺麗だよね」

「はい、とても綺麗です」


 さすがは鉱石のダンジョンということだけあって、最深部である第五層には輝石と呼ばれる一際綺麗な輝きを放つ石が辺り一面に散りばめられており、その光によりこの第五層全体はなんとも幻想的な空間となっている。


「さぁて、ダンジョンボスはこの奥にいるからささっと片付けてお家に帰ろうか」

「はい!」



 ボスの間、最深部のさらに奥にある空間でここにダンジョンボスがいる。

 このダンジョンのボスは石獣と呼ばれる全身が硬い鉱石で覆われた獣である。


「着いたぞ」

「ここにダンジョンボスがいるんですね」

「ああ、ユイカさんこれを」

「え、なんですかこれ?」


 俺はボスの間の前に着くとユイカさんに赤色のローブを渡した。


「それは鎧布と呼ばれる素材で作ったローブで魔法防具の一種なんだ」

「魔法防具……」

「それを着ていれば大抵の魔法や物理攻撃なんかは防げるからそれを着といてもらえると助かる」

「わ、わかりました!」


 ユイカさんに渡したローブは、正式名称簡易性、対ドラゴン用ローブレベルA +と言って結構なレアアイテムである。

 怪我とかされたくないし渡したけどさすがに三級ダンジョンでこれはやりすぎたかな……。

 

「可愛いです!」

「お、おう」


 ユイカさんは俺が渡したローブをさっそく着た。

 それがあまりにも似合っていたのでお俺はついつい見惚れてしまった。


「わんわん!」

「あ、ケルベロスも可愛いって言ってくれてますー」

「うん可愛いよ」


 ……ユイカさんがね。


「よしそれじゃあ準備もできたし、今からボスの間に入ろうか!」

「はい!」

「わん!」


 そうして俺達は全体的に明るい五層で、唯一暗いボスの間に入っていった。


 


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