村上春樹氏はなぜノーベル文学賞を獲れないのか

カイ.智水

なぜ村上春樹氏はノーベル文学賞の声がかからないのか

 今年の村上春樹氏の受賞オッズは2位と3位だったそうです。

 近年は英語圏からばかり選出されていたので、今年はそれ以外の国から選ばれるのではないか。

 そう考えられていました。


 確かに受賞したのは東アフリカのザンジバル島出身の作家アブドゥルラザク・グルナ氏でした。


 ではなぜ村上春樹氏はここ何十年も「ノーベル文学賞筆頭候補」と言われながらも受賞を逃してきたのでしょうか。



 「ノーベル文学賞」は売上で決まるわけでも、人気で決まるわけでも、知名度で選ばれるわけでもないからです。


 皆様はグルナ氏の小説を読んだことがあるでしょうか。

 私はありません。

 カズオ・イシグロ氏の小説を、受賞前に読んだ人も少なかったはず。

 皆が知らないけれども訴えてくるものがある。

 そういう人がノーベル文学賞を獲るのです。



 村上春樹氏は「人気がある」「売上がある」「知名度がある」のですが、ノーベル文学賞は獲れない。


 実はこの「人気」「売上」「知名度」で受賞が決まるのであれば、彼よりもっと受賞に近い人たちがいます。


 世界一の売上を誇った『ハリー・ポッター』シリーズを書いたJ・K・ローリング氏。

 『ダ・ヴィンチ・コード』のダン・ブラウン氏。


 彼女彼らは村上春樹氏が霞むほど、世界中で何百万部と売り上げています。それだけ「人気」「売上」「知名度」があるにもかかわらず、ふたりともノーベル文学賞は授与されていないのです。



 ではそもそもノーベル文学賞とはどのような賞なのでしょうか。


 少数派マイノリティーの意見を主張する点が共通しています。


 川端康成氏や大江健三郎氏は、島国・日本の風景を世界中に発信したからこそ受賞できたのです。


 それに対して村上春樹氏の作品はすべて「ファンタジー」なのです。


 ノーベル文学賞を授与された人の中で「ファンタジー作家」は含まれていません。

 つまり「論外」なのです。


 また「政治的主張で目立とうとする」人は受賞していません。

 村上春樹氏は目立つところでは「イスラエルで政治的主張をして」います。

 こういった政治を絡めた活動をノーベル文学賞は嫌います。


 ノーベル文学賞は、政治的圧力で授与されるものでもないのです。


 多くの人が読んだから、面白いと思ったから。

 ノーベル文学賞は娯楽作品に授与されません。

 されるのならJ・K・ローリング氏やダン・ブラウン氏が受賞していないのは明らかに変です。



 だから、私は今年も「ノーベル文学賞くれくれ詐欺」を冷ややかに見ていました。

 どうせ獲れっこないのに、マスコミだけが日本人を煽っている。


 もしかすると村上春樹氏自身、もう煽らないでくれ、と思っているかもしれません。

 ノーベル文学賞の基準とかけ離れている作品を書いているんだから、これでノーベル文学賞を獲ったら申し訳ない。

 少しでも知性があるのなら、そう思うのが普通ではないでしょうか。

 もし村上春樹氏がノーベル文学賞を獲りたいと思って作品を書いたり講演をしたりしているのであれば、履き違えているのです。


 ノーベル文学賞はアピール力で決まる賞でもないのです。


 純粋に文章だけで、世界にインパクトを与える、世界に訴えかけるものがある。

 そういう作品を書いた人がノーベル文学賞を獲るのです。


 ただ面白い、人気がある、売れている。

 それだけで決まる賞ではありません。



 だから来年もそれ以降も、ノーベルウィークに入って村上春樹氏の名前が出てきたら。

 皆様「獲れっこないよ」と笑って聞き流しましょう。

 彼はノーベル文学賞基準の作品を書いていない、一流の「ファンタジー」作家なのです。

 そこを勘違いなさいませぬよう。




追記2021.10.08

 もし村上春樹氏が獲れるのであれば、マンガ『DRAGON BALL』の鳥山明氏、『ONE PIECE』の尾田栄一郎氏のほうが獲れるのではないか。

 そう思えます。



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