シャラクセエヨの猫である。
lex
1.
ああ、もう「シャラクセエ」よ、というよりメンドクせえよ。何が日本の文学だ、何が政治だ、何が一人前の社会人だよ。お前のお股についてるオチンチンだけ立派だったら、あとはもう何も要らんだろうが、このボケ。オイラたちは社会に見捨てられた浮浪者、何がワリイんだ?。
申し遅れた。吾輩は猫である。名前はまだない、訳でもない。あのガキンチョにつけられた名前がある。ミリーとか言っとったかな。よくミリー、ミリーと呼びかけてくるからきっとミリーなんだろうな。まあ、本当の名は吾郎と申す。あのガキンチョに会う前に盆栽好きなジジイからよく吾郎、吾郎、と呼ばれていた。ワシの仲間の猫には善子や、義則なんかがおる。あいつらは己らのご主人の家に監禁されたままで自由がない。それでもあいつらは満足そうにニャーゴニャーゴなんぞ鳴いておる。ワシには決まったご主人なんぞない。ワシはワシの道を歩む。ハイ、これに文句ある奴いるかー?うん、異論ないな?ハイ。ワシは思えばここに来るまで色んな冒険をした。あの人間様が乗っている電車、なんぞいうものに乗ったこともあるぞ。あれは移動が便利で楽チンでええのう。ワシはあれが気に入った。こないだ山手線に乗って渋谷というところにいったんじゃ。あそこはガラが悪い連中が沢山おってのう。駅前で勧誘する不細工なホストや反政府運動している貧乏くさいババアなんぞが唾を垂らして飛びかけて己らの主張を色々やっとる。もう、ウンザリじゃ。ワシは人間になんぞ生まれなくて本当に良かったと思っておる。道端にはゴミを捨てるわ、これまた不細工な姉ちゃんの汚ねえ尻に騙されてナンパする馬鹿な金髪男なんぞが山のように溢れておる。ワシが猫神様なら渋谷のボケかましとる人間全員滅ぼしておるわ、バカモン。まあ、ワシはネコだから別にいいけど。渋谷なんぞワシは永遠に行かぬと心に決めた。
ある日のことじゃ。ワシは善子に外の世界を見てみたいと懇願された。もう戻ってこれなくなるぞい、と申し伝えたが「吾郎様とならもうこのお家に戻ってこれなくても構いません」と善子が言いよった。ワシの心はドキドキしてしもうた。善子がそんなにワシのことを想うとってくれたとは驚いたものじゃ。
ワシは善子を家から連れ出して、またあの山手線なるものに乗った。人混みが酷かったが善子がいてくれるものならそんなもんはどうでもよかったんじゃ。そうこうしているうちに原宿についたんじゃ。人間の若いモンが多かったのう。でも渋谷の若い連中よりは幾分か心持ち清々しい連中が多かったように思う。まず人相が悪い奴は見たところ一人もおらんかった。渋谷にいるような人間はここにはおらんようじゃ、ワシは善子を連れてIKEAという家具屋さんに入った。ここは広くてソファーなんぞ沢山あって便利じゃのう。足を進めてそのソファーなんぞに善子と一緒に飛び乗った。IKEAの布団はフカフカじゃのう、と善子の顔を見て呟いた。そしたらどうじゃ、善子が泣いておる。どうして泣いておるんじゃと言ったら、お腹が減ったと申しておる。あちゃあ、ワシともあろう猫がこのレディーの空腹を気づいてやれんかったか。少し怖気づいてからワシは近くの原宿通りにあるチーズラーメン屋に連れていってやった。ワシは店ん中で適当にニャーゴニャーゴ鳴いておったらそこのホスト狂いのオバチャン達がラーメンのチャーシューをワシと善子にくれよった。なぜホスト狂いか分かったかって?知らんけどこのオバチャン達が丸々店舗の丸々君ってこうだよねえ、とかほざいておったからホスト狂いと断定したまでじゃ。そんなこんなでワシにしては長く文章を書きすぎてしまったようじゃ。もう1500文字に到達しておる。ヨシ、このワシのネコバナシはまたの機会に聞かせてやるかのう。ニャーゴニャーゴ、楽しみに待っておれ。
シャラクセエヨの猫である。 lex @novelstudio
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