時代物の新ジャンルに出会えた気分

美しく優しい文体に魅了され、一気読みさせていただきました。

下町や長屋の描写も繊細で、読んでいる時は勿論、読後もしばらく、自分がまるでその世界で生活しているような錯覚を覚えるほどでした。

主人公の雪は、とにかく不幸な生い立ちを持つ少女です。そんな彼女がある日、手傷を負った浪人と出会うことで運命が開かれる。
この雪という少女にかなり感情移入しました。その不幸な過去によって形成された、自分に全く自信を持てない性格にも納得出来ました。
だからこそ彼女には幸せになって欲しい、そう願わずにはいられませんでした。

読み終えた時、「終わってしまった」という強烈なロスに襲われました。
このロスを埋めるには次の作品を読むしかない。そう思い、作者様の次作品をブクマさせていただきました。
しばらく夏野さんワールドにはまりそうです。

恐らく今年一番心を動かされた一冊、是非お手に取ってみてください。